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微小ワイヤレスインプラント、体内深部で酸素を検出

July, 20, 2021, Berkeley--UC Berkeleyのエンジニアは、皮下深部で組織酸素レベルのリアルタイム計測ができる微小ワイヤレスインプラントを開発した。デバイスは、平均的なテントウムシ以下のサイズで、超音波を電源としており、医者が移植臓器や組織をモニタしたり、潜在的な移植障害の早期警告を提供する際に役立つ。

UC SFの物理学者と共同で開発した同技術は、他の重要な生化学マーカー、pHや二酸化炭素などを追跡できる様々な微小センサの実現に道を開く。これらのセンサは、いずれ、機能する臓器や組織内部で生化学モニタリングの侵襲性の少ない方法となる。

UC Berkeley、電気工学・コンピュータサイエンス教授、Michel Maharbizによると、体内深部の物事を計測するのは非常に難しい。「そのデバイスは、非常に巧妙なIC設計と結合した超音波技術を使い、臓器からデータを収集するために組織深部に入り込む高度なインプラントがどのように実現できるかを実証している」。

新研究は、Nature Biotechnologyに発表された。Michel Maharbizは論文のシニアオーサ。

酸素は、われわれが食べる食物からエネルギーを収集する細胞機能の重要成分であり、身体のほぼ全ての組織が、生きるために安定供給を必要としている。組織酸素化を計測するほとんどの方法は、体表付近で起こっていることについて情報を提供できるだけである。これは、これらの方法が赤外光など電磁波に依存しているためである。赤外光は、皮膚内、臓器組織に数センチメートルしか浸透できない。深部組織の酸素化について情報を供給できる磁気共鳴イメージングが存在するが、それらは長時間のスキャニングを必要とし、リアルタムデータを供給することはできない。

2013年以来、Maharbizは、超音波を利用して外部世界とワイヤレス通信する微小インプラントを設計している。超音波は、音の一形態で、人の耳には周波数が高すぎて聞こえないが、電磁波よりも遙かに長い距離で身体に無害透過し、すでに医学では超音波イメージング技術の基盤となっている。一例を挙げれば、Stimdustは、UC Berkeley電気工学・コンピュータサイエンス准教授、Rikky Mullerと共同設計したデバイスである。これは、体内の電気神経発火を検出、刺激できるデバイス。

UC Berkeley、工学ポスドク研究者は、酸素センシングを包含するようにインプラントの機能を拡張する取組を主導した。LED光源と光ディテクタの両方の集積に関わる酸素センサを微小デバイスに組み込み、またセンサの操作と読出しのための一連の複雑な電子制御を設計。チームは、生きた羊の筋肉内の酸素レベルをモニタすることでそのデバイスをテストした。

Sonmezogluの指摘によると、この種の酸素センサは、血液酸素飽和度の計測に用いられるパルス酸素濃度計とは異なる。パルス酸素濃度計は、酸素化された血中ヘモグロビンの比率を計測するが、新しいデバイスは、組織の酸素量を直接計測できる。

「このデバイスの1つの潜在的用途は、臓器移植のモニタである。臓器移植後数ヶ月で、血管合併症が起こる可能性がある。この合併症は移植片の機能不全につながる。また、腫瘍の酸素欠乏計測にも使用できる。これはガンの放射線治療ガイドに役立つ」とSonmezogluは話している。

Sonmezogluによると、同技術はさらに改善できる。体内で長期に機能するようにセンサを筐体に入れる。さらなる微小化により、現在手術を必要とするインプラントプロセスが簡素になる。加えて、センサの光プラットフォームが、体内の他の生化学計測に直ちに適用可能になる。

「われわれが酸素センサ用に構築したこのプラットフォームを変えるだけで、デバイスは、例えばpH、活性酸素種、グルコースあるいは二酸化炭素を計測するように変更できる。また、パッケージングを変更してそれをさらに小型化すると、それは体内に針で、あるいは腹腔鏡手術で注入でき、移植はさらに容易になる」とSonmezogluは説明している。
(詳細は、https://news.berkeley.edu)