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免疫系を刺激して腫瘍と闘わせるナノ粒子をデザイン

March, 5, 2021, Cambridge--ガン治療の有望な戦略の一つは、身体独自の免疫系を刺激して腫瘍と闘わせることである。しかし、腫瘍は免疫系の抑制に非常に長けているので、この種の治療は、ほとんど全ての患者にとって有効でない。

MITエンジニアは、ガン免疫療法の一つのタイプの効果を強化する方法を考案した。マウスを既存の薬剤、チェックポイント阻害剤で処置し、免疫系をさらに刺激する新しいナノ粒子とともに利用すると、治療はチェックポイント阻害剤だけよりも、強力であった。このアプローチは、ガン免疫療法が、多くの割合の患者に恩恵を与える、と研究者は話している。

「これらの治療は、患者のほんの一部では実際にうまくいく。他の患者では、全く機能しない。現状、この相違が存在する理由はまったく分からない」と新研究の主筆Colin Bussは話している。

MITのチームは、腫瘍に対する免疫反応の効率を上げるDNAの少量をパッケージし供給する方法を考案した。これにより免疫チェックポイント阻害剤を効果的にする相乗効果を作る。マウスでの研究で、その二重治療が腫瘍に成長を止め、場合によっては、身体の他の場所の腫瘍の成長も止めた。
研究成果は、Proceedings of the National Academy of Sciencesで発表された。

ブレーキの除去
人の免疫系は、ガン細胞などの異常な細胞を認識して破壊するように調整される。しかし、腫瘍周囲の環境で免疫系を抑制する分子を分泌する腫瘍が多い。こうしてT細胞攻撃を無力にする。

免疫チェックポイント阻害剤の背後にある考えは、それらが免疫系のこの「ブレーキ」を除去し、腫瘍を攻撃するT細胞の能力を回復させることである。CTLA-4、PD-1、およびPD-L1などのチェックポイントタンパク質を標的にするこれらの抑制剤のいくつかは、様々なガンの処置に承認されている。これらの薬剤は、T細胞の活性化を阻止するチェックポイントタンパク質のスイッチを切ることで機能する。

「それらは、ある患者では信じられないほど良く機能する。また、特定のガン患者の15~20%は回復する」とBhatiaは話している。「しかし、このアプローチをもっと多くの患者に使う可能性を開くには、やることは、まだ多い」。

ある研究によると、免疫チェックポイント阻害剤と放射線治療の組合せは、それらをより効果的にする。研究者が実施した別のアプローチは、それらを免疫刺激薬剤と組み合わせた。そのような種類の薬剤の一つが、オリゴヌクレチオドである。DNAあるいはRNAの特殊な配列で、免疫系が異物として認識するものである。
 しかし、これらの免疫刺激薬剤の臨床試験は、まだ成功していない。一つのあり得る理由は、その薬剤が、意図した標的に届いていないことである。MITのチームは、これらの免疫刺激薬剤のもっと標的を絞ったデリバリを達成し、腫瘍サイトに集積させることができる方法を見つけようとしている。

 それをするために、チームは、オリゴヌクレチオドを腫瘍浸透性ペプチドにパッケージした。これは、ガン性遺伝子を黙らせるRNAを供給するために以前に開発していたものである。このペプチドは、ガン細胞表面に発見されるタンパク質との相互作用ができ、特に腫瘍を標的にする際に役立つ。そのペプチドはプラス電荷セグメントも含んでおり、それらが腫瘍に達すると細胞膜浸透を助ける。

Bhatia と Bussがこの研究に使用することを決めたオリゴヌクレチオドは、特異的DNA配列を含んでいる。これは、バクテリアの細胞にはよく生ずるが、ヒトの細胞には生じない。狙いは、人の免疫系が、それを認識して反応できるようにすることである。これらオリゴヌクレチオドは特にトール様(toll-like)受容体(TLR)という免疫細胞を活性化することができ、微生物の侵入者を検出する。

「これらの受容体は進化して、細胞にバクテリアのような病原菌の存在を認識させることができる。それは、免疫系に、ここに危険のがある、活性化して、それを殺せ、指示する」。

相乗効果
ナノ粒子を作り出した後、研究チームは、複数の異なるガンのマウスモデルでそれらをテストした。チームは、独自のオリゴヌクレチオドナノ粒子、独自の免疫チェックポイント阻害剤、それに2つの処置をいっしょにテストした。2つの処置はともに、これまででベストの結果を出した。

「その粒子と免疫チェックポイント阻害抗体(ICI)とを組合せると、粒子だけあるいはICIだけのいずれかに対して、大きく改善することを確認した。マウスを粒子とICIで処置すると、そのガンの進行を止めることができる」とBussは話している。

研究チームは、すでに身体に広がった腫瘍を標的にするために免疫系を刺激できるかどうかも考えた。その可能性を探究するために、チームはマウスに2つの腫瘍、身体の各側面に一つを移植した。チームは、マウスにの身体全体にICIを与えたが、ナノ粒子は一方の腫瘍だけに注入した。T細胞が統合処置によって活性化されると、第2の腫瘍も攻撃することを研究チームは確認した。

「一箇所を刺激して次に全身性反応が得られるといういくつかの兆候が見られ、これは心強いことであった」(Bhatia)。

研究チームは、その粒子の安全性テストを実施する計画である。さらに開発を進めて、腫瘍が独自のICI薬剤に反応しない患者を処置したいと考えている。その目的のために、チームは、スタンフォード(Burnham Prebys Medical Discovery Institute)のErrki Ruoslahtiと協力している。同氏は、腫瘍浸透性ペプチドを独自に発見した。同氏が設立した会社は、すでに腫瘍浸透性ペプチドの他のバージョンを人の臨床試験に利用して膵臓ガンを治療しようとしている。

「われわれは拡張可能性、それらの製造、患者を助けるまで進むことについて楽観的である」とBhatiaは話している。

(詳細は、https://news.mit.edu)