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レーザと暗視技術で隠れたリンパ系イメージング改善

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June, 6, 2014, Washington--人のリンパ系は重要であるが、カラダ全体に広がる微小なリンパ管でできた循環系についてはあまり理解されていない。
 この「排出」系が感染防止に役立ち、病気や外傷が正常なリンパ機能を阻害するときによく起こる腫れ物を防いでいる。慢性的な腫れ物は、リンパ浮腫として知られる、痛みを伴う治療不能の状態を示すのが特徴。リンパ浮腫は、ガン治療後によく起こり、生涯手足や身体の一部が外観を損なう状態になり得る。
 リンパ浮腫を、腫れが起こる前に早期発見することで患者にとってはよい結果となるが、このような微細管を解像できる高分解能のイメージング技術が存在しないことが大きな障害になっている。最近、ヒューストンのテキサスで医学健康科学センタ(UTHealth)医学部の研究チームが、非侵襲的に人のリンパ系を撮像することができる新しい技術を開発した。蛍光色素と市販のレーザダイオード、軍事グレードのナイトビジョンを使い、リンパ毛細管を可視化する。
 これは微細なリンパ管でも撮像できるので、臨床的に患者の治療に飛躍的な改善が期待できる。また、リンパ系を通って流れるリンパ液を定量的に図ることができる。これらは、現状の技術ではできな2つのタイプの計測である。
 CLEO:2014でUTHealthの研究者、John Rasmussenがこの技術をベンチトップ開発から様々な臨床応用まで、どのように展開してきたかについて発表する。研究チームは、この技術を近赤外蛍光リンパイメージング(NIRFLI)と呼んでいる。
 人のリンパ系はなぜ撮像が難しいか。リンパ撮像の大きな問題は、小さなリンパ管が透明なリンパ液で満たされていること。このため、CTスキャナやMRIで写るのに必要な自然のコントラストがない。色素あるいは他の造影剤をリンパ管に注入してもっと見えるようにすればよいと思うかも知れないが、リンパ管を見つけるのは非常に難しく、ほとんどの場合小さすぎて針が挿入できない。
 既存技術、リンパシンチグラフィは、放射性化合物を皮下に注入した後、リンパ系の画像を撮ることができるが、1枚の粗い写真を撮るのに20~45分かかるのが一般的。しかも、最も大きなリンパ管、大きな主要部しか画像化できない。リンパ系の大部分を占める、もっと小さなリンパ管はリンパシンチグラフィでは見ることができない。加えて、撮像時間が長いので、リンパ系のリンパ液の流れをリアルタイムで撮ることはできない。
 CLEO:2014でRasmussen氏は、近赤外レーザイメージング(NIRFLI)で、微細管も含むリンパ系やリンパの流れが定量的に計測できる方法を説明する。これはリンパシンチグラフィに対する飛躍的な改善と言える。加えて、NIRFLIは既存技術よりも安全で、低コストである。
 リンパ系の画像を撮るために、NIRFLIは、インドシアニングリーン色素を使う。微量が患者の皮膚に注入される。色素はリンパ系に吸収され、レーザダイオードが照射されると、それは蛍光を発する。その蛍光を軍用の画像増強管で増幅する。画像増強管はナイトビジョンゴーグルの主要コンポーネント。次に市販のCCDデジタルカメラで捉える。
 画像増強管により、小さなリンパ管が見えるようになり、一連の画像をまとめることで、リンパ系の内部の流れを示す映像を作ることができる。Rasmussen氏によると、NIRFLIの見通しとして最も緊要なものは、リンパ浮腫の診断とモニタとなる。「恐らく、医師が腫瘍が流れ出るリンパ節を特定して切除するのにも役立つ」と考えられる。
 「これらの画像や映像から、リンパが関わる様々な病気や障害で、異常なリンパ組織や機能を特定することができる」と同氏はコメントしている。