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OCTベース技術、フォトレセプタ機能の微妙な細部を捉える

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September, 1, 2020, Washington--UC Davisの研究者は、新しい計測器を開発し、これにより生きた人の眼の個々の桿体錐体の光誘起変形を初めて計測した。その新しいアプローチはいずれ、加励性黄斑変性症などの網膜疾患を改善できる。

「われわれの装置は、細胞レベルで網膜疾患を調べる独自の方法を提供する。機能不全を計測する既存の方法は、著しく感度が低いので、われわれの装置は疾患を検出する新たな方法となる可能性がある」とUC Davis眼センタ、研究チームリーダー、Ravi Jonnalは説明している。

Optics Lettersの論文では、チームは同装置をOCTベースとしている。新しいアプローチを使い、個々の桿体錐体がどのように光に反応するかを計測できる。また、イメージング光源の波長よりも大幅に小さな変形を検出できる。

イメージング法の統合
視覚は、眼の網膜の桿体錐体受容体が光を検出し、光情報伝達というプロセスにより信号を起動するときに始まる。加励黄斑変性症や網膜色素変性などの網膜疾患が、桿体錐体機能を妨げることが失明の原因である。

桿体は、こうした疾患の影響に対する感度が高いと考えられるので、その機能変化は、疾患やその進行の早期指標となる。しかし、桿体のサイズが小さいために、それらの撮像は困難である、ましてやそれらがいかによく機能しているかは計測できない。

新しい研究では、チームは独自の高速OCTシステムを開発した。これは、光情報伝達の副作用として生ずる光受容体の外側部のわずかな腫脹を検出できる。同システムは、スキャニング検眼スコープ画像と同時に特殊OCT画像を撮ることで、これを達成しており、数100の3D OCT画像でとらえた光受容体の位置とタイプをピンポイントできる。

「桿体錐体の主腫脹をイメージングすることで、光に対する反応の動力学を明らかにできるが、これまでは、こうした変化が人の眼の生体内で計測できるかどうかはわからなかった。これは、光受容体のサイズと光誘起変形のスケールが、網膜イメージングシステムによる分解能以下だったからである」と論文の筆頭著者、Mehdi Azimipourは説明している。

高速動力学イメージング
つい最近、大きな周辺錐体の光誘起変形を視覚化するために全視野OCTを利用した。UC Davisの研究者が開発したそのOCTシステムは、共焦点性が優れている、つまり散乱光の多くを阻止し、関連するノイズを抑制することで画像品質を改善する。光受容体の光誘起変形は、非常に高速であるので、その新システムは高速フーリエドメインモードロックレーザを組み込んでいる。これにより、高速イメージングが可能になり、SSOCTで使用されている市販のレーザよりも16倍高速にスキャンできる。

可能な限り最高の解像度の画像をとるために研究チームは適応光学技術を組み込んだ。これによりリアルタイムで目の収差を計測し補正できる。システムの1µm波長光源のために、適応光学でも、桿体光受容体は小さすぎて撮像が困難である。この問題を克服するためにチームは、スキャニング光検眼鏡イメージングチャネルを追加した。これはイメージング分解能を高めるために1µm以下の波長を使う。これにより、共起OCT画像で桿体錐体の区別ができた。

研究チームは、新しい計測器を使い、生きた人の眼で様々なに強度が変わる光に反応する桿体錐体の変形を計測した。細胞の反応は、光強度が増すにつれて強くなり、飽和した。これは光情報伝達と一致している。

新しい装置は微小な視界でも大量のデータ(3.2GB/s)を生成するので、網膜の大きな領域をスキャンし、データ処理を自動化するためのソフトウエアの開発が必要である。これによりシステムは、臨床利用にとって一段とと実用的になる。

研究チームは現在、新たな洞察が得られるかどうかを見るために、その装置を使って網膜疾患患者の光受容体光反応を計測する計画である。「われわれは、失明に至る疾患の新たな治療をテストするためにその装置を使用することに関心を持っている。また、そうした治療を臨床に持ち込むプロセスを早めたいと考えている」とZzimipourはコメントしている。