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マシンラーニングは人工臓器成長に役立つ

August, 21, 2020, Moscow--MIPT、システムプログラミングイバニコフ研究所(Ivannikov Institute for System Programming)、ハーバード医科関連Schepens Eye Research Instituteの研究者は、ディッシュで分化プロセス中に網膜組織を認識できる神経ネットワークを開発した。人と違い、そのアルゴリズムは、細胞を変更することなくこれを達成するので、その方法は、失明治療目的で開発が進む細胞置換療法向けで成長する網膜組織に適している。また、創薬研究にも適している。

これは、創薬、失明治療のための細胞置換療法の発展を含め、多くの分野に向けた技術応用を拡大する。

多細胞生物では、様々な臓器や組織を作る細胞は、同じではない。それらは、発達の過程で獲得した明確な機能と特徴を備えている。出発時は同じで、幹細胞と言われており、成熟した生物にあるいかなる種類の細胞にもなる可能性がある。次に、それらはある組織や臓器に固有のタンパク質を生み出すことで分化する。

試験管の組織分化を再現する最も進んだ技術は、オルガノイドと言う3D細胞集合体に依存している。その方法は、網膜、嚢、内耳、内蔵、膵臓、多くの他の組織タイプの発達研究に効果があることがすでに証明されている。オルガノイドベースの分化は、自然のプロセスを厳密に模倣しているので、結果として得られた組織は、実際の生体組織の一つに非常に近い。

網膜へ分化する細胞の段階の一部は、確率的性質(ランダム)があり、同じバッチの人工臓器間でさえ、特殊機能の細胞の数は大きく変動する。結果的に、時間的に所定のポイントで、どの細胞がすでに分化しているかを判断する手段が必要になる。そうでなければ、実験は本当に再現できず、臨床応用も信頼度が落ちる。

分化した細胞を見つけるために、組織エンジニアは、蛍光たんぱく質を使う。そのようなタンパク質を生み出すことに関わる遺伝子を細胞のDNAに挿入することで、研究者は、それが合成され、細胞発達のある段階に達したときに信号を発することを保証する。この技術は、極めて高感度、特殊であり、定量評価に便利であるが、移植や遺伝病モデリングを対象とした細胞には適していない。

 その落とし穴に対処するために、最近のFrontiers in Cellular Neuroscienceでの研究の著者たちは、組織構造に基づいた代替アプローチを提案した。分化した細胞の品質を予測する信頼できる、客観的な基準がないことは、これまで定式化されていなかった。研究チームは、最良の網膜組織は、ニューラルネットワークと人工知能を使って選択されるべきであると提案している。移植、薬剤スクリーニング、あるいは病気のモデリングに最も適した網膜組織である。

「われわれのラボの重点の一つは、生物情報科学、マシンラーニング、AIを、遺伝学や分子生物学の実際の作業に適用することである。またこのソリューションは、科学の境界にも位置する。その中では、MIPTが伝統的に得意としている、ニューラルネットワークは、生体医学にとって重要な問題を取り扱う。幹細胞の網膜への分化を予測することである」とMIPT遺伝子工学長、Pavel Volchkovは話している。

「人の網膜の再生能力は非常に限られている。つまり、進行するニューロンの損失、例えば緑内障は、常に完全な失明に至る。また、点字学習で先んじる以外に、医者が推奨できることは何もない。われわれの研究は、網膜疾患の生体医学の実現に一歩近づける。これは、失明の進行を止めるだけでなく、逆転させる」。

チームは、神経網、つまり人の脳で神経が機能する仕方を真似たコンピュータアルゴリズムを訓練した。従来の光学顕微鏡で作成された写真に基づいた網膜の発達でその組織を特定するためである。研究チームはまず、蛍光レポータを利用する正確な技術で1200画像において分化した細胞を多くの専門家に特定してもらった。その神経網は750画像で訓練され、別の150は評価に、また250はテスト予測用である。この最後の段階で、マシーンは84%の正確さで分化細胞を見つけることができた。人による達成率は67%である。
 
「われわれの成果は、早期網膜組織選択に利用される現在の基準が主観的である可能性を示している。つまり、決定を下す専門家に依存している。しかし、われわれは、その組織形態、構造は、非常に初期の段階でも網膜分化を予測できる糸口を含むと仮定した。また人と違い、コンピュータプログラムは、その情報を引き出すことができるのである」とMIPT研究所、Evgenii Kegelesはコメントしている。

「このアプローチは、非常に高品質の画像、蛍光レポータ、あるいは染料を必要としないので、実装は比較的容易である。これにより、緑内障や黄斑変性など、確実に失明に至る今日の網膜疾患の発達する細胞治療へわれわれは一歩近づくことになる。それだけでなく、そのアプローチは、他の細胞株だけでなく、他の人の人工臓器にも移転可能である」。

(詳細は、https://mipt.ru)