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X線レーザが生体分子の内部構造を正確に計測できる方法をテスト

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June, 25, 2020, Menlo Park--エネルギー省(DOE)のSLAC国立加速器研究所X線自由電子レーザの大きな利点の一つは、研究者が自然環境で生物学的分子の構造を計測できることである。人体に見られるのと似た条件で、潜在的な新しい薬剤がウイルスとどのように相互作用するかを調べたい時、これは重要である。これらのサンプルを超短X線レーザパルスで照射することで研究者は、X線からの損傷がサンプルに伝搬する直前にデータを収集ることができる。

しかし、この方法による研究はサンプルに、本当に全く損傷を与えないのか。これは「破壊前の回折」として知られていることである。計測のもっと微細なスケールで答を知ることは、これらの実験結果を分析し、生体分子がどのように有効かを理解するために重要である。そうした理解は、効果的に特定の病気を標的にする薬剤のデ設計では極めて重要である。

SLACの線形加速器コヒレント光源Linac Coherent Light Source (LCLS)で開発された二色X線レーザ技術により、LCLSにおける実験は、この技術をこれまでに見られなかった限界までテストした。

マックスプランク医療研究所のIlme SchlichtingとSLACのSébastien Boutetのチームは、最大100fs、わずかに違う波長の二種類の結晶化生体分子にX線レーザパルスペアを照射した。最初のパルスは、サンプルを透過し、フィルタ箔に吸収された。第二のパルスは、サンプルから散乱され、フィルタを通ってディテクタに入り、パタンを形成した。これを分析して、サンプルの分子の構造を再現し、最初のパルスによって起こったどんな変化も計測することができる。

この方法で、チームは、酸素よりも重い原子を含む分子の一部がX線損傷の衝撃を吸収したことを確認した。すべてのタンパク質のバックボーンにある炭素原子連鎖も徐々に変化するが、その程度は遥かに小さい。これらの変化は、分子全体で一定ではなく、ある領域では、他の領域よりも多く起こり、パルス間の時間が増すに従い、増加する。こうした結果からわかることは、信頼度の高い計測をするには、研究者は、分子のすべての部分が等しく損傷を受けると仮定するのではなく、サンプルのこれら特定の部分をモデル化する必要があるということである。

Nature Communicationsに発表されたこの研究は、LCLSのようなX線レーザで作られた非常に短いX線パルスが生体分子の構造をどのように変えるかを完全に理解するための始まりである。研究チームは、「破壊前の回折」が、生体分子の構造を計測する効果的な方法であると結論づけた。その結果を理解する時に、研究者が研究に使用されるパルスの強度と時間幅とを考慮に入れている限りにおいてである。そのような知見は、この施設で行われている幅広い分野の研究に適用できる。それは、蚊に媒介される病気と闘う新しい方法の研究から、致死性の病原体の毒性の研究、抗喘息剤の理解向上まで幅広い範囲である。
(詳細は、https://www6.slac.stanford.edu)