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クモからヒントを得たコンパクトな深部センサ

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February, 28, 2020, Cambridge--クモ類動物は、脳は小さいが、すばらしい奥行き知覚を持っており、身体の長さの何倍も離れたところから無防備な標的に正確に飛びかかることができる。

クモからヒントを得てハーバードSEASの研究チームは、コンパクトで効率的な深度センサを開発した。これは、オンボードマイクロロボット、小さなウエアラブルデバイス、軽量VR/ARヘッドセットに利用できる。デバイスは、多機能フラットメタレンズと、超効率アルゴリズムを組み合わせて、シングルショットで深度計測ができる。
 研究成果は、Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)に発表された。

電話、自動車、ビデオゲームコンソールに搭載されているような、今日の深度センサの多くは、光源とマルチカメラを統合して、距離を測定する。スマートフォンのFace IDは、例えば、数千のレーザドットを使って顔の輪郭をマッピングする。これは、バッテリや高速コンピュータのスペースがある大きなデバイス用であるが、パワーや計算能力が限られている、スマートウォッチ、マイクロロボットでは小さなデバイスはどうなるか。

飛びかかるクモは、深度を計測するためにより効率的なシステムを進化させた。各主眼が、層状に配置された半透明の網膜をもち、これらの網膜が様々な量のボヤケで多数の画像を計測する。例えば、飛びかかるクモがその主眼の1つでミバエを見ると、ハエは1つの網膜の画像では鮮明に、別の網膜画像ではぼやけて見える。このボヤケの変化が、ハエまでの距離についての情報をエンコードする。

コンピュータビジョンでは、この種の距離計算は、デフォーカスからの深度として知られている。しかしこれまで、自然をコピーするには、モーター駆動内蔵コンポーネントを備えた大きなカメラが必要だった。これによって異なる焦点で時間経過とともに画像を撮ることができる。これは、センサのスピードと実用的なアプリケーションの制約となる。

ここでメタレンズが登場するのである。

SEASのFederico Capassoは、様々な情報を含む複数の画像を同時に生成できるメタレンズをすでに実証している。その研究から、チームは、異なるボヤケの2つの画像を同時に生み出すことができるメタレンズを設計した。

Capasso研究室の一人、Zhujin Shiは、「層状の網膜を使って多数の画像を同時に撮る代わりに、飛びかかるクモがするように、メタレンズは光をスプリットして、2つの異なるデフォーカス画像をフォトセンサ上に並べて形成する」と説明している。

Todd Zicklerのグループが開発した超効率的アルゴリズムが、その2つの画像を解釈し、物体の距離を表す深度マップを構築する。

「メタサーフェスとコンピュータアルゴリズムをともに設計できることは非常に素晴らしい。これはコンピュータサイエンスの新しい創造法であり、多くの可能性に扉を開く」と論文の筆頭著者、Qi Guoは話している。

「メタレンズは、変革的な技術である。既存および新しい光学機能を遙かに効率的に、高速に実装し、既存のレンズよりも著しく小型で複雑さが少ないからである。光学設計とコンピュータイメージングのブレイクスルーの融合により、われわれは、この新しい奥行きカメラを生み出した。これは、科学、技術に広範な機会を開くものである」とCapassoはコメントしている。
(詳細は、https://www.seas.harvard.edu)