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原子、分子、生細胞を操作する画期的な光ピンセット

December, 19, 2019, Wien--原子、分子、生細胞でさえ光ビームで操作できる。TU Wienで、そのような「光ピンセット」を変革するために、ある方法が開発された。

TU Wienによると、それらは、Star Trekの「トラクタビーム」を想起させるものである。特殊な光ビームを使い、分子、つまり微小な生物学的粒子を操作できる。ウイルスでも、細胞であろうと、捉えて動かすことができる。しかし、この光ピンセットは、空間、あるいは透明な液体中でだけ機能する。どんな乱れた環境でも、光波を偏向させ、その効果を破壊する。これは、特に生物サンプルでは問題である。それらは通常非常に複雑な環境に存在するからである。

しかし、TU Wienの研究者は、効力が必然的に作られる方法を示した。乱れた環境の中で、小さな粒子を操作するために完全な波形を決定する特殊計算法を開発した。これにより、サンプル内の個々の粒子を保持し、動かし、あるいは回転させることができる。たとえ、それらが直接に触れることができなくても。その特注光ビームは、すべての小さなものに対する汎用リモートコントロールになる。マイクロ波実験は、その方法が有効であることをすでに実証している。その新しい光ピンセット技術は、Nature PHotonicsに紹介されている。

無秩序環境における光ピンセット
「光ビームを使って物質を操作することは、もはや珍しいことではない」とTU Wien理論物理学研究所、Stefan Rotter教授は言う。

しかし、光波は影響を受けやすい、乱れた、不規則な環境では、光波は、非常に複雑な方法でそらされ、あらゆる方向に散乱させられる。シンプルな平面光波が、複雑な、乱れた波形になる。これは、光と特定粒子との相互作用の仕方を完全に変える。

「しかし、この散乱効果は、補正可能である」と論文の筆頭著者、Michael Horodynskiは言う。「われわれは、乱れた環境の不規則性が、光波を正確に、われわれが望む形に変えるように、最初にその波を成形する方法を計算できる。この場合、光波は、最初は、むしろ乱れてカオス的に見えるが、その乱れた環境が、それを秩序あるものに変える。無限の小さな混乱は、通常は実験を不可能にするが、望む波形を正確に生成するために使える。それが今度は、特殊粒子に作用する。

適切な波を計算
これを達成するために、粒子とその乱れた環境を最初に様々な波で照射し、波が反射される仕方を計算する。この計算は、素早く連続的に二度実施される。「二回の計算の間の短時間に、乱れた環境が同じであると仮定しよう。一方、われわれが操作したい粒子はわずかに変化する。動く細胞、単に少しだけ沈む細胞を考える。次にわれわれが送り込んだ光波は、2つの計測でわずかに反射が違う」とStefan Rotterは言う。この小さな差は重要である。TU Wienで開発された新しい計算法で、この粒子の動きを増幅または減衰させるために利用すべき波を計算することができる。

「粒子がゆっくりと下に沈むなら、われわれはこの沈潜を防ぐ、あるいはその粒子をさらに速く沈める波を計算することができる。粒子が少しだけ回転するなら、われわれはどの波が最大角運動量を伝えるかを知っており、するとわれわれは、それに触れることなく特別成形された光波で粒子を回転させることができる」とStefan Rotterは説明している。

マイクロ波で実験成功
TU Wien研究チームの、Kevin Pichlerは、その計算法をニース大学(University of Nice)プロジェクトパートナーのLabで実行することができた。ランダムに配列したテフロン物体を使い、マイクロ波でそれらを照射した。この方法で実際に、その波形を正確に生成することに成功した。システムの無秩序により、波形は、所望の効果を生み出した。

「マイクロ波実験は、われわれの方法が有効であることを示している。しかし本当の目標は、それをマイクロ波ではなく、可視光に適用することである。これは、光ピンセットにまったく新しいアプリケーション領域を開くことになる。特に生物学研究である。また、以前には、まったく不可能と考えられていた方法で、小さな粒子の制御を可能にする」とStefan Rotterは話している。
(詳細は、https://www.tuwien.at/)