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光駆動LCエラストマ、生体模倣ロボットを形成

August, 28, 2019, Warsaw--ワルシャワ大学物理学部の研究チームは、液晶エラストマ技術を使って、生物からヒントを得たマイクロロボットを実証した。これは、自然界のカタツムリやナメクジの粘着性移動を模倣することができるマイクロロボットである。10㎜長のソフトロボットは、レーザビームからエネルギーを獲得し、水平面を這い、垂直な壁を登り、ガラスの天井を逆さまに歩行できる。

軟体の移動性変形による爬行は、広範な移動形態で、微小線虫からミミズ、腹足類、鱗のある動物がそれを使って様々な、厳しい状況で動き回る。カタツムリは、特に、滑りやすい水分分泌の粘液を使い、腹足と表面との相互作用をコントロールする。その粘着性移動は、独特の特徴をもつ。木材、金属、ガラス、テフロン(PTFE)、様々な構成の砂を含め、多様な表面で利用でき、逆さまに爬行することも可能。ロボット工学では、単一の連続的な足は、複雑さが少ないので、不利な外部状況、摩耗、亀裂への耐性がある。同時に、地面との連続的な接触は、故障耐性のマージンが高い可能性がある。ロボットの粘着性移動は、これまでは、電気機械駆動、外部駆動、センチメートル規模の実証器に限られていた。

液晶エラストマ(LCEs)は、スマートな材料であり、スマート材料であり、可視光を含む様々な刺激でマクロ、高速、可逆的形態変化を示す。製造は、微小スケール,ミリメータスケールの多様な形態で可能である。また、分子配向エンジニアリングにより、複雑な作動モードが可能である。中国蘇州、西交利物浦大学(Xi’an Jiaotong-Liverpool University)の研究者とワルシャワ大学の研究者は、自然な規模のソフトカタツムリロボットを開発した。これは、液晶エラストマ連続アクチュエータのオプトメカニカル反応に基づいている。そのロボットの推進力は、軟体の光誘起移動性変形、人工粘液層(グリセリン)との相互作用によって駆動されている。ロボットは、1分に数ミリメートルの速度で爬行できる。これは、同等サイズのカタツムリと比べて約50倍遅いが、垂直な壁を登り、ガラス天井や障害物を越えて爬行できる。

「スピードは遅く、一定の潤滑、低エネルギー効率ではあるが、このエラストマソフトロボットは、スマート材料のマイクロメカニクスに独自の洞察を示し、粘着性移動研究のためのうってつけのプラットフォームにもなる」、とワルシャワ大学、物理学部フォトニックナノ構造施設長、Piotr Wasylczykはコメントしている。

研究チームは、すでに自然規模の光駆動キャタピラロボットを実証しており、新たにスマート材料を生み出したことにより、新しい製造技術と相俟って、小型ソフトロボットとマイクロメカニクスのより広い範囲の探求ができるようになると考えている。