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電子チップが脳を真似て瞬時に記憶を操作

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July, 25, 2019, Northbrook--RMITの研究チームは、光遺伝学からヒントを得て、脳が情報を蓄積し失う仕方を再現するデバイスを開発した。
 光遺伝学により研究者は、信じがたい精度で身体の電気信号を研究することができる。これには、光を使ってニューロンをON/OFFできるような操作も含まれる。
 新しいチップは、超薄型材料をベースにしている。これは、光の様々な波長に反応して電気抵抗を変え、脳内でニューロンが情報を蓄積し、消去する仕方を真似ることができる。
 研究チームリーダー、Dr Sumeet Waliaによると、その技術は、脳の高度な完全機能を利用できる人工知能(AI)にわれわれを近づける。
 「光遺伝学にヒントを得たわれわれのチップは、自然界最高のコンピータ、人間の脳の基礎生物学を再現する。情報を蓄積し、消去し、処理できることは、コンピューティングにとって極めて重要である。脳はこれを極めて効率的に行う」とWaliaは言う。 
 「われわれは、チップに様々な色の光を照射するだけで、脳の神経アプローチをシミュレートできる。
 この技術は、さらに高速、効率的、セキュアな光ベースのコンピューティングへつながる。
 また、正に人がするように環境から学ぶことができる人工脳、brein-on-a-chip実現に近づく重要な一歩である」と話している。
 論文は、Advanced Functional Materialsに発表された。筆頭著者、Dr TAimur Ahmedは、「この技術は研究者が脳の理解を深め、アルツハイマ病や認知症のような、神経連絡の破壊による障害で脳がどのうに影響を受けるかを理解するための非常に大きな機会を創りだす」とコメントしている。
 RMITの機能材料とマイクロシステム研究グループの研究者は、チップが、脳のような機能をもつ他のボックスを作動させることで論理演算、情報処理を実施できることも実証した。
 Micro Nano Research Facilityで開発されたその技術は,既存のエレクトロニクスに適合しており、ウエアラブルエレクトロニクスへの集積のために柔軟なプラットフォーム上でも実証された。

チップの動作方法
 神経連絡は、電気インパルを通じて脳内で起こる。エネルギースパイクが、ある電圧閾値に達すると、ニューロンがつながり、記憶形成が始まる。
 チップでは、光を使って光電流を生成する。色の切替えにより、電流はプラスからマイナスへ方向を逆転させる。
 この方向の切替え、つまり極性シフトは、神経連絡の接続と遮断に相当する。ニューロンを接続(および学習を誘起)あるいは抑止(忘却誘起)を可能にするメカニズムである。
 これは光遺伝学と同じである。光遺伝学では、光誘起によるニューロンの変更でスイッチを入れたり切ったりする、つまり脳内の次のニューロンへの接続を可能にしたり抑止したりする。
 その技術を開発するために、研究チームは、自然には本質的に欠陥をもつ黒リン(BP)という材料を使った。
 これは、普通にはオプトエレクトロニクスでは問題であるが、精密エンジニアリングにより研究チームは、欠陥を生かして新しい機能を実現した。
 「欠陥は、通常、回避すべきものと見なされるが、ここでは、われわれはそれを使って新しい、有用なものを作製した」とAhmedは話している。
 「われわれが直面している技術課題にソリューションを見つけるための創造的アプローチである」。
 論文は、「層状黒リンの欠陥の利用による多機能オプトエレクトロニクス」。