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失明阻止に役立つローコスト網膜スキャナ

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July, 23, 2019, Durham--デューク大学(Duke University)の医用生体工学者は、ローコスト、ポータブルOCTスキャナを開発した。これは、米国および外国の医療サービスが十分でない地域に視力維持技術を供給する上で有望である。
 3Dプリント分光計を再設計したことで、そのスキャナは、現在の商用システムよりも15倍軽量化、小型化されており、商用システムの小売価格の1/10以下の部品コストで作製されている。画像品質を犠牲にすることは全くない。
 最初の臨床試験で、その新しいOCTスキャナは、120の網膜画像をを生成し、現在の商用システムで撮ったものと比較して画像は95%の鮮明さであった。すなわち、正確な臨床診断に十分である。
 研究成果は、Translational Vision Science & Technologyに発表された。
 OCTは、超音波の光学的な類似である。光は音よりも遙かに高速であるので、計測時間が一層難しくなる。光波が、スキャンされる素子から戻ってくるまでの時間を測るために、OCTデバイスは分光計を使って、同じ距離を進んだが、組織と相互作用しなかった光と比較して、位相がどの程度シフトしたかを確定する。
 小型で安価なOCTデバイスを実現する主要技術は、研究チームが設計した新タイプの分光計である。従来の分光計は、主に精密切断した金属コンポーネントと一連のレンズ、ミラーおよびW形状の回折スリットからの直接光で作られている。このセットアップは高精度であるが、バンプ、温度変動によって起こるわずかな機械的変動が、ミスアライメントを起こす。
 しかし、デューク大学生体医用工学教授Adam Waxの設計は、主に3Dプリントされたプラスチックでできた筐体内の円形パスで光を取り入れる。分光計の光パスは円形であるので、温度変動によるどんな拡張、収縮も対称的に起こり、光コンポーネントの配置を維持するようにバランスをとる。デバイスは、ミスアライメントを少なくするために、光経路端で比較的大きなディテクタを使用している。
 従来のOCT装置は、60ポンド以上、机一杯の場所を占め、価格は、5万~12万ドル。新しいOCT機器は、わずか4ポンド、弁当箱サイズであり、Waxの予想では、15000ドル以下の販売価格となりそうである。
 新たな研究で、ノースカロライナ医科大学眼科准教授、網膜外科、Niklas Ulrichは、新しいOCTスキャナを、Heidelberg Engineering製造商用装置と比較テストした。60名の患者の両眼を臨床イメージングした。半分は、健康なボランティア、半分は何らかの網膜疾患がある患者だった。
 両方の装置で生成した画像を比較するために研究チームは、コントラスト・ノイズ比を使用した。これは、医療イメージングで画像品質を判定するためによく用いられる計測。結果の示すところによると、この測定基準で、低コスト、ポータブルOCTスキャナは、商用装置と比較してわずか5.6%少ない有用なコントラストであり、これは十分臨床診断を可能にするものである。
 Waxは、Lumedicaというスタートアップカンパニーを通じてデバイスを商用化する。すでに研究アプリケーション向けに第一世代装置を製造、販売している。
(詳細は、https://pratt.duke.edu/)