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マウスの脳へのレーザ照射でアルツハイマー病、統合失調症中核細胞解明

April, 19, 2019, Tucson--アルツハイマー病と統合失調症は最も一般的な脳疾患であり、パルブアルブミンという一種のタンパク質を含む細胞の問題に関与している。これらパルブアルブミンを含む細胞は、脳細胞のほぼ1/10であるが、パルブアルブミン細胞が何をするかについてはほとんど分かっていない。レーザでマウスの脳を刺激することによって研究チームは、それらの働きについて予期しない成果を見いだし始めた。
 米国、セントルイス・ワシントン大学のDr. Adam Q. Bauer研究室のチームは、バルブアルブミン含有細胞が刺激された時、血液量と血流に意外な変化を発見した。チームが使用した技術は、脳をレーザパルスで刺激できるように特別に育てられたマウスを利用する。研究成果は、OSA Biophotonics Congress: Optics in the Life Sciencesで発表された。
 脳の抑制細胞の主要タイプの一つ、パルブアルブミン発現細胞が、脳の無限の信号協調に関与していることが分かった。適切な神経系の発達は、時間経過とともに相互に協調して繰り返し発火する神経に依存しているので、この神経シンフォニーの指揮が、脳細胞間の接続を制御する重要な部分であることが分かった。これによって脳細胞は正常に発達するのである。
 光信号で脳を刺激する技術は、光遺伝学と呼ばれているが、これは脳の働き方の理解を大きく飛躍させた。われわれの脳が恐怖や臭覚をどのように処理するか、あるいはなぜわれわれはドラッグ中毒になるのかなども含まれる。
 「光遺伝学は、便利だ、侵襲性や反復性か少ない。また、それは非常に単純である。プローブをマウスなどの脳に突き刺す必要はない」と研究グループのJoonhyuk Leeは話している。
 まず、研究チームは、脳を通して、特別な、感光性タンパク質、チャネルロドプシンを発現するマウスを育てた。チャネルロドプシンは、元は藻に発見されたが、研究者はそれを使い、脳のどの部分を取り上げて刺激するかを決める。マウスの脳のそのエリアを適切な色のレーザで刺激し、所望の神経回路を活性化することができる。
 チームは比較のために、チャネルロドプシンがパルブアルブミン発現ニューロンに付着したマウスと、興奮性Thy1発現細胞にチャネルロドプシンをもつマウスとを育てた。各グループで、研究チームはレーザでマウスの脳を刺激し、結果を比較することができた。
 Joonhyuk Lee研究者によると、ほとんどのニューロンは刺激されると、脳がニューロンにより多くの血液と酸素を供給する。これは、興奮性Thy1細胞でも起こったが、血流と量に関する研究室の結果は、パルブアルブミン発現細胞が刺激されたときに、反対の反応が明らかになった。
 「特定神経細胞群の活動が血流の局所的変化にどのように結びついているかは、脳が血液供給をどのように管理するかを理解する基本である」とLeeは言う。
 研究者の結論は、パルブアルブミン発現細胞が、活性化されたエリアにおける血液供給を引き戻し、微調整する方法を持つというものだった。
 研究チームは、レーザスペクルコントラスティングイメージングと言う、別のレーザシステムを脳に照射することで血液と酸素レベルを計測した。マウスのひげに触れると、パルブアルブミン細胞が、近隣の血液と酸素を興奮させているときにスケールダウンできることを研究グループは、最初に確認した。研究グループは次に、脳の異なるエリアを計測し、パルブアルブミン細胞が、遠く離れた脳へのメッセージリレイに一役買い、その血行動態活動、つまり血流を変化させることを発見した。
 「パルブアルブミン発現ニューロンの活性化が局所的血流と量を低減させるとは考えていなかった。ましてや、それが間接的原因であるとしても、脳のもっと離れたエリアで同様の血行動態活動を発見したことは、大きな驚きであった」とLeeはコメントしている。
 最終的には、同氏によると、この発見と技術は、神経血管連関におけるパルブアルブミンの役割の理解向上に役立ち、また、それが脳の発達に、つまり神経疾患の形成にどのように影響するかという問題も提起する。