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昆虫の生得的行動を生み出す神経回路の新しい解析技術を確立

図1

March, 18, 2019, 金沢--金沢大学理工研究域生命理工学系の木矢星歌研究協力員(日本学術振興会特別研究員PD)、木矢剛智准教授の研究グループは、昆虫の脳で、行動に伴って神経活動が起きた細胞を特異的に可視化し、さらに可視化した神経細胞を光によって活性化することができる新しい技術を確立し、行動モチベーションを制御する神経細胞の同定に成功した。
 昆虫は多様な生得的行動(本能行動)を示すが、これらの行動がどのような神経回路の働きによって生み出されているのか、不明な点が多く残されている。生得的行動を生み出す神経回路の全貌や機能を明らかにするためには、その行動時に活動が起きた神経回路を明らかにし、さらに神経回路の活動を人為的に操作することで行動を操作することができる技術の確立が求められていた。
 研究グループは、モデル昆虫であるショウジョウバエで、神経活動依存的に発現する遺伝子Hormone receptor 38 (Hr38)の転写活性を利用し、神経回路を可視化・操作する技術を確立した。この技術を用いて、オスのショウジョウバエの交尾行動時に活動が起きた神経細胞を緑色蛍光タンパク質(GFP)によって可視化することに成功した。また、交尾行動時に活動が起きた神経細胞にチャネルロドプシンを発現させることで、光照射によってオスの交尾行動を誘発させることに成功した。さらに、この技術によって特定の神経細胞群(aSP2神経細胞)が交尾行動特異的に活動することを見いだし、aSP2神経細胞は交尾行動のモチベーションを制御する機能を持つことを明らかにした。
 これらの知見は将来、他の昆虫種にもこの研究で確立された技術を適用することで、さまざまな昆虫の生得的行動の神経基盤の解明および行動の制御に活用されることが期待される。
 研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」のオンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.kanazawa-u.ac.jp/)