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天然材料から実物そっくりの組織を作る3Dバイオプリンティング技術

January, 22, 2019, San Diego--カリフォルニア大学サンデイエゴ(UCSD)バイオエンジニアは、天然材料を扱え、使いやすい3Dバイオプリンティング技術を開発した。これにより研究者は、実物そっくりの臓器組織モデルを造る専門技術レベルに変化を持たせることができる。
 概念実証としてUCSDチームは、その方法を使って、体外で乳ガン腫瘍を生き続けさせる血管網を作った。また、血管が新生された人の消化管モデルも作った。研究成果は、Advanced Healthcare Materialsに発表された。
 研究者によると、目標は、身体にインプラントできる人工臓器の作製ではなく、体外で研究したり、薬剤スクリーニングに使用できる人の臓器を簡単に成長させることである。
 「他の3Dプリンティング技術を必要とするような専門性を持たない平凡な研究者が、研究している人のどんに組織でも3Dモデル化することを容易にしたい。そのようなモデルは、標準的な2Dあるいは3D細胞培養よりも遙かに進んでおり、現在動物モデルで行っている新薬のテストでは、一層人に関連するものとなっている」とUCSD、論文の筆頭著者、Michael Huはコメントしている。
 その方法は簡単である。例えば、生きた血管網の作製では、研究者は先ずAutodeskを使ってデジタル的にスカフォールドを設計する。商用3Dプリンタを使い、ポリビニールアルコールという水溶性材料からスカフォールドをプリントする。次に、そのスカフォールドの上に天然材料でできた厚いコーティングを流し、それを硬化させる。次に、空洞の血管チャネルを作るために内部のスカフォールド材料を一掃する。さらに、チャネル内部を内皮細胞で覆う。これは血管の内側を裏打ちする細胞である。最後のステップは、細胞を生かし成長させるために細胞培養基を血管に通す。
 血管は、フィブリノゲン、血栓に見つかる化合物、実際の哺乳類細胞外基質として商用入手可能なマトリゲルなど、人体に見つかる天然材料でできている。
 研究者によると、適切な材料を見つけることは、最大課題の1つであった。「われわれは、合成よりも天然の材料を使いたかったので、可能な限り体内にあるものに近いものを作ることができた。また、それらはわれわれの3Dプリンティング法で対処可能でなければならなかった」とXin Yi(Linda) Leiは話している。
 1つの実験で、研究チームは乳ガン腫瘍組織を体外で生かし続けるためにプリントした血管を使用した。マウスから腫瘍を取り出し、その一部をプリント血管網に埋め込んだ。他の部分は、標準細胞培養で保持した。3週間後、血管プリントに入れた腫瘍組織は生きていた。一方、標準3D細胞培養の腫瘍はほとんど全滅だった。
 「われわれのシステムは、体外で抗ガン剤の試験に使える腫瘍モデルを作るために適用可能と考えている。乳ガンは、最も一般的なガンの1つである。ガン研究の最大部分の1つであり、そのために開発されている薬学の専門技術は最大のものの1つである。したがって、われわれが実現できるどんなモデルでも、より多くの人々にとって役立つ」とHuは話している。
 他の実験では、研究チームは、血管を新生し消化管モデルを作製した。その構造は、2つのチャネルで構成されている。1つは、消化管を真似るために腸の内皮細胞で裏打ちされたストレート管。もう一方は、血管チャネル(内皮細胞で裏打ちされている)で、これは消化管チャネルの周囲に渦巻になっていた。目標は、:血管網で囲まれた消化管の再現。各チャネルには、次にその細胞に適した培養基を供給した。二週間以内にチャネルは、より実物に近い形態をとり始めた。例えば、消化管チャネルに絨毛が芽生え始めた。これは、腸壁内部に微小な指のように突き出した内張である。
 「このタイプの戦略でわれわれは、複雑で、長寿命システムを体外セッティングに作ることができるようになっている。将来的には、これは、このようなシステムを作るための動物の利用を補完することができる」とMaliは話している。
 「これは、さまざまなタイプの細胞をいっしょに培養できることを示す概念実証であり、体内の多臓器相互作用をモデル化したいなら、これは重要である。一度のプリントでわれわれは、2つの明確な局所環境を作れる、それぞれが違うタイプの細胞を生かし、それらが相互作用できるように密接設置できる」とHuはコメントしている。
 
(詳細は、https://ucsdnews.ucsd.edu/)