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ライプニッツ光技術研究所、脳の深部を見る非侵襲内視鏡を開発

January, 21, 2019, Jena--ライプニッツ光技術研究所(Leibniz IPHT)とエジンバラ大学の研究チームは、ファイバ内視鏡を用いてアクセスが難しい脳の構造を見ることに成功した。研究チームは、生きたマウスの脳深部内の神経構造を初めて高解像度で観察することかできるようになった。これには、これまで報告された中で最も侵襲性の少ない内視鏡プローブを使用している。
 これは、例えば、アルツハイマー病など、機能障害、記憶の形成など、未知の脳機能理解への重要なステップである。
 研究成果は、Light: Science & Applicationsに発表された。
 髪の毛サイズの光ファイバを使い、研究チームは、あたかも鍵穴を通すように生きたマウスの脳深部を見ることができる。最近報告された複雑な媒体における光伝播のホログラフィック制御法により、マルチモードファイバ(MMF)はイメージングツールに利用できるようになった。この新しいアプローチに基づいて研究チームは、ファイバ端蛍光イメージング用のコンパクトなシステムを設計した。これは、ファイババンドルや屈折率分布型レンズをベースにした従来の内視鏡に比べて、はるかに小さなフットプリントであり、解像度が向上している。
 Leibniz IPHTのDr Ivo T. Leiteは、「生きた動物モデルの脳深部を侵襲性の少ない方法で初めて調べることができ、同時に高解像度を達成することができる」と話している。Dr Sergey TurtaevとIvoは、Tomáš Čižmár教授をリーダーとするホログラフィック内視鏡研究グループで研究している。単一ファイバによるイメージングのホログラフィック法は、同教授が開発した。このアプローチを利用して研究チームは、生きたマウスのと視覚野、海馬の脳細胞と神経突起の画像取得に成功した。解像度はほぼ1µm。これらの領域の詳細な観察は、知覚、記憶の形成、アルツハイマー病など深刻な神経疾患の研究には極めて重要である。現在の研究方法は、極めて侵襲的であり、周辺組織の破壊なしでこのような内部領域の神経網を観察することはできない。数100の光ファイバで構成される通常の内視鏡は大きすぎて敏感な脳領域に入り込めない、また神経構造は、MRIなど非侵襲的イメージング方で見るには微小すぎる。
 「この侵襲性の少ないアプローチにより、神経科学者は、行動する動物の脳深部構造における神経機能を研究することができる。動作している神経回路を乱すことなく、これら神経回路の活動を明らかにする。その間、動物は、環境を探査したり、新しい仕事を学んでいたりする」とエジンバラ大学のDr Nathalie Rochefrotは説明している。
 この研究に立脚して研究チームは、現在の神経科学の課題に対処したいと考えている。それには、単一ファイバ内視鏡による進んだ顕微技術の送達を必要としている。
(詳細は、https://www.leibniz-ipht.de)