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内視鏡を小型化する空気充填ファイババンドル

December, 25, 2018, Washington--バース大学(University of Bath)の研究チームは、新しい種類の空気充填光ファイババンドルを開発した。これは、侵襲性の少ない手術、気管支検査法など医療処置で利用される内視鏡を大幅に改善する。新技術は、赤外光を利用して画像を生成する内視鏡につながる。これにより、今日の内視鏡でできない診断法が可能になる。
 内視鏡は、光ファイババンドルを使って、体内からの画像を伝送する。ファイババンドル個々の端からの光が、個々のファイバ遠端に伝播し、デジタル画像を構成するピクセルのように数千のスポット形状で画像が運ばれてくる。光ファイバは、異なる光学特性を持つ内部コアと外部クラッドで構成され、光を内部に捉えてファイバで伝播する。ほとんどのファイババンドルと同様、2つのタイプのガラスでできたコアとクラッドを使うのではなく、新しいバンドルは、クラッドとして機能する、空気で満たされた中空ガラスキャピラリで囲まれたガラスコアアレイを使う。
 Optics Lettersで研究チームは、エアクラッドイメージングファイバと名付けた新しいファイババンドルが、商用ファイバが利用する波長域の2倍で、最高性能の商用イメージングファイバの解像度を維持していることを示している。新しいファイバは、現状よりも小さく、高解像度の内視鏡実現に利用可能である。
 「解像度向上は、内視鏡処置を行う医者にとっては常に有用であるが、脳内手術など最も敏感な処置は、通常、最細機器を必要とする。これらの機器は、通常、非常に微細であるので、コアの数が少なすぎて画像が鮮明にならない。われわれのエアクラッドバンドルは、より小さな径にもっと多くのファイバを詰め込むことができ、したがってこうした状況では特に有用である」と、論文の筆頭著者、バース大学のHarry Woodは説明している。
 医療診断や処置のアプリケーションに加えて、新しいファイバは、危険な機械の内容モニタリング、石油や鉱物採掘内部のイメージングなど、産業アプリケーションでも有用であることが証明できる。
 ファイババンドルが、所定の断面に、より多くのコアを含んでいると、ピクセル数の多いカメラの解像度が向上するのと同様に、詳細な画像が生成される。しかし、コアが小さすぎ、密着しすぎていると、光は相互に漏れて画像は霞んでしまう。
 「われわれが開発したハニカム構造は、ガラスと空気を組み合わせて、2種のガラスを使用する標準的なイメージングファイバよりも、遙かに稠密にコアに光を収容する。これにより、われわれは、以前に可能だったよりもコアを密着させ、より長い波長の光に押し込むことができる。しかも、従来のアプローチで見られるぼやけがない」とWoodは言う。
 研究チームによると、その新しいファイバの背後の原理は何年も前から知られていたが、製造アプローチ、特にエアギャップを持つファイバは、最近の進歩により、こうしたファイバが使えるようになった。
 研究チームは、新しいエア-クラッドファイババンドルと商用ファイバを使って標準的な試験標的画像を撮像した。Woodは、「エアクラッドファイバは、可視光カメラが検出できる波長範囲を超えて機能した。赤外カメラに交換すると、商用ファイバの2倍の波長範囲で鮮明な画像を生成した」と説明している。
 研究チームは現在、バンドルに生物材料が入らないように、コア間の微細なガラス網を保護するために、ファイバ端の封止法を解決しようとしている。この問題が解決されると、この技術は次世代内視鏡に普及すると研究チームは見ている。