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NIH、技術、適応光学と血管造影法を組合せ網膜深部を撮像

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November, 20, 2018, Bethesda--国立眼病研究所(NIH)の研究チームは、2つのイメージング法、適応光学と血管造影法を組み合わせて目の感光網膜深部の生きたニューロン、上皮細胞、血管を見ることができる。
 前例のない詳細さで、網膜の最外領域の組織や細胞を解像することは、高齢者失明の主因である加齢黄斑変性症(AMD)などの病気の発見と処置の変革を約束するものである。論文は、Communications Biologyに発表されている。
 「病気の研究で、完全な生きた細胞の観察に代わるものは何もない。しかし、従来技術は、そうした細部の観察能力に限界がある」と論文の筆頭著者、Johnny Tamはコメントしている。
 細胞レベルで病気を研究するには、生検や検死組織が一般に使われるが、時間とともに病気進行で起こるわずかな変化を見るには、それらは理想的ではない。網膜組織の非侵襲的イメージング技術は、光が角膜、レンズ、目の中心のジェルのようなガラス質を通過する際の歪に阻害されている。
 研究チームは、この歪問題に対処するために適応光学を利用した。同技術は、光歪を補償するためにデフォーマブルミラーとコンピュータ利用アルゴリズムを使うことで光学系の解像度を改善する。大型地上設置宇宙望遠鏡で大気を透過してくる光の歪を補正するために広く利用されているので、眼科での適応光学利用は、1990年代半ばに始まった。
 NEIの研究チームは、適応光学とインドシアニン蛍光グリーン眼底撮影法(ICG造影法)とを組み合わせた。ICGは、眼科で一般に使用されているイメージング技術で、注入可能な染料とカメラを使い、血管構造とその構造内の液体の動きを示す。23名の健康な被検者に関する観察研究で研究チームは、マルチモーダルアプローチにより、網膜の最外領域で相互作用する複雑な細胞と組織を初めて見ることができた。これには、光検出光受容体、光受容体に栄養を与える網膜色素上皮細胞、周囲の脈絡毛細管枝、網膜の最外領域に血液を供給する毛細血管が含まれる。
 AMD、アテローム性動脈硬化(動脈が硬化し狭くなる)を含む一連の病気は、網膜の最外領域を破壊する。生きた網膜細胞と組織を可視化する能力は、これらの症状を新たに明らかにし、患者に兆候が現れる前に医師による病気の初期兆候特定に役立ち、病気へのよりよい処置対応が可能になる。
 研究チームは、マルチモーダルイメージングを網膜色素変性、網膜の神経変性病の患者でテストし、光受容体が死んだ網膜の領域に健康な網膜色素上皮(RPE)と血管が見られた。
 「過去において、目のRPE細胞や脈絡毛細管枝に光受容体の状態を信頼性良く評価することができなかった。神経、上皮細胞、あるいは血管、病気の多様なステージでどの組織層が影響を受けているかを明らかにすることは、病気のターゲット処置の進展と評価で重要な第1段階である」とTam氏はコメントしている。