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低温X線回折イメージング・トモグラフィー技術の確立

October, 29, 2018, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学研究センター生命系放射光利用システム開発チームの中迫雅由客員主管研究員、小林周基礎科学特別研究員、生体機構研究グループの高山裕貴客員研究員らの共同研究チームは、細胞1個の内部構造を非侵襲的に(細胞を傷つけずに)可視化できる「低温X線回折イメージング・トモグラフィー」実験装置を開発し、その測定・解析方法を確立した。
 この研究成果は、これまで他のイメージング手法では難しかった細胞の非修飾・非侵襲を実現し、細胞をはじめとする非結晶粒子の三次元構造解析に新たな基軸と展開を与えると期待できる。
 X線の透過性を利用する「X線回折イメージング法」は、細胞を非修飾・非侵襲的に観察できる可能性が示されてきたが、放射線損傷などの問題があった。今回、共同研究チームは、試料の放射線損傷を大幅に低減しながら、水和凍結試料の三次元構造を100ナノメートル(nm)程度の解像度で可視化する、低温X線回折実験技術と水和凍結試料作製技術を開発した。実際に、開発した装置を用いてX線回折イメージング・トモグラフィー実験を行った結果、大きさが約6µmの原始紅藻や出芽酵母細胞の三次元構造の可視化に成功した。今後、低温X線回折イメージング・トモグラフィーは蛍光顕微鏡、透過型電子顕微鏡と相補的な第三の顕微鏡として機能し、“細胞丸ごと”の高解像度イメージングが可能になると考えられる。
 研究成果は、Journal of Synchrotron Radiation』のオンライン版に掲載された。
(詳細は、http://www.riken.jp)