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生物学的発想による接着剤で心臓をしっかりと封印

January, 16, 2014, Boston--先天性心臓障害の治療に生物学的発想による、光で活性化する接着剤は、いずれ縫合のような侵襲的治療に取って代わると考えられている。
ブリガム&ウイメンズホスピタル(BWH)生体工学部、Jeffrey Karp, PhDによると、米国では先天的心臓障害を持つ赤ん坊が年間約40000人生まれ、その治療は複数回の手術が必要になる。これは、インプラントが非分解型であり、患者とともに成長しないためである。
前臨床試験で、ボストン小児科病院、BWH、MITの研究チームは、生物学的発想による接着剤を開発した。この接着剤は、鼓動する心臓内部に生分解性のパッチを迅速に貼り付けることができる。例えば、心室中隔欠損のような、先天的に心臓に空いている穴の正確な位置に貼り付けることができる。
多くの自然の生物は粘性があり水をはじく分泌物を持っていて湿潤状態、動的条件下で貼付可能であることが分かっている。研究チームは、そうした特徴を持つ材料を開発した。そのような材料は生分解性を持ち、柔軟であり、生体適合的でもある。研究チームによると、接着剤で固定した、この生分解性のパッチは、心拍数や血圧が増えてもそのまま貼りついていた。
現在の外科用接着剤と異なり、この新しい接着剤は血液があっても、動的環境でさえも非常に強い接着力を保っている。
ボストン小小児科病院心臓外科MD、Nora Lang氏によると、この接着剤は縫合に相当する力で組織をしっかりとつなぎ止め、パッチを心臓に貼り付けておくことができる。また、この接着剤パッチは生分解性があり生体適合的であるので、患者の身体に異物や毒性は全く存在しない。
重要な点は、この接着能力はUV光で活性化するので、圧力の高い大血管や心臓壁障害に適用しても、UV光を5秒照射することで、オンデマンドで止血することができる点にある。
(詳細は、 www.brighamandwomens.org)