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乳癌手術の繰り返しを減らす顕微鏡技術

May, 31, 2017, Pasadena--CaltechのLihong Wangをリーダーとする光イメージング研究所のエンジニアは、外科医による乳がんのしこり除去に役立ち、腫瘍全体を除去したと確信できるイメージング技術を開発した。これにより追加の手術の必要性が減少する。
 年間約30万の浸潤性乳がんの新しい症例が発見される。その60~75%の患者は乳房温存手術を受ける。
 乳房温存手術、つまり乳房腫瘍摘出術は、損傷のない乳房組織を可能な限り保ちながら、腫瘍全体を除去しようとするものである(対照的に、乳房切除術は乳房全体を切除する)。切除された組織は、次に研究室に送られ、そこで薄くスライスされ色素で染色して重要な特徴が目立つようにし、分析される。腫瘍細胞が組織サンプル表面に見つかると、手術が腫瘍周辺ではなく、腫瘍を切り開いたことを示しており、腫瘍の一部が患者の内部に残っていることを意味する。その患者は、さらに組織を切除するために再度手術を行う必要がある。
 1~2週間ラボの結果を待った後、20~60%の患者が、さらに組織を除去するために二度目の手術をしなければならないことが分かる。しかしWang氏は、「待機しなくてもよかったらどうだろう。3D光音響顕微鏡を用いることで、われわれは手術室で腫瘍を分析でき、さらに組織の切除が必要かどうかを直ちに知ることができる」と言う。同氏の研究室で3D光音響顕微鏡(PAM)が開発された。
 PAMは、組織サンプルを低エネルギーレーザで刺激し、組織を振動させる。そのシステムが、振動する組織が発する超音波を計測する。細胞核は周辺物質よりも強く振動するので、PAMは核のサイズと細胞の稠密度を明らかにする。ガン組織は、比較的核が大きい傾向があり、細胞稠密度は高い。
 Science Advancesに発表された論文によると、PAMは癌の特徴を目立たせる画像を生成する。スライスも染色も不要である。
 研究チームは、まずは乳がん腫瘍に注力したが、研究成果はメラノーマから膵臓がんまで、切除された腫瘍のいかなる分析にも応用できる可能性がある。論文によると、概念実証スキャンではサンプル解析に3時間かかったが、従来の顕微鏡で同等の結果を得るには7時間程度かかる。しかし、Wang氏によると、PAMの分析時間は、高速繰り返しレーザパルスと並列イメージングを用いることで、10分以下まで短縮可能である。これは、その技術が臨床応用で有用であることを示している。
(詳細は、www.caltech.edu)