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ナノスケールセンサで病気を特定

March, 31, 2017, Sydney--サイトカイン検出に役立つ新しいナノスケールセンサが開発された。サイトカインは、感染、炎症、外傷や病気に対する細胞の応答で重要な役割を果たす。
 センサは、CNBP (ARC Centre of Excellence for Nanoscale BioPhotonics)の研究チームが設計した改良型グラフェン量子ドットで構成されている。
 そのセンサにより、細胞内および細胞周囲のごく微量のサイトカインが特定できる。この研究成果は、バイオメディカル研究で新たな道を開く可能性があると期待されている。
 マッコーリー大学(Macquarie University)准教授、CNBPプロジェクト、Guozhen Liu氏によると、サイトカインは免疫系の細胞から分泌される分子。「身体から分泌されるあるサイトカインは、関節炎、炎症あるいはガンなど、健康に関する問題の兆候であることが多い。したがって、細胞およびサブ細胞レベルでのサイトカイン分泌のモニタリングは、基礎生理、身体が実際にどのように働いているかを理解するうえで大きな価値がある」と同氏は語っている。
 従来、サイトカイン分子は、計測も定量化も極めて困難だった。サイズが小さく、動的性質、一時的性質のためである。
「細胞内に簡単に侵入できるほどに小さなセンサを設計し、作ことができるようになった。さらに、他のセンサと違い、そのセンサはサイトカインが存在するときにのみ反応する。この目的で、われわれはGODsをアプトマとして知られるサイトカインセンシングDNA分子に結合した」。
 マッコーリー大学教授、Ewa Goldysは、「体液、細胞、組織および小器官におけるサイトカイン分泌は生体医療研究分野で強い関心を集めている。リアルタイムでサイトカインレベルをトラッキングできると、身体生理学モニタリングに新たな方法を開くことになる。これは究極的には新たな診断ツール、処置モニタリング法になる」とコメントしている。
 CNBPで開発された画期的なGQDセンシング技術は、センサ設計の汎用的な性質により、広範なアプリケーションの可能性がある、とGoldys氏は考えている。