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蛍光顕微鏡でガン細胞の転移を洞察

August, 22, 2016, Los Angels--UCLA、カリフォルニアナノシステムズ研究所の研究チームは、ガン細胞の転移の仕方で独自の理論を確認する方向で大きく踏み出した。研究成果は、黒色腫の広がりを抑える新たな戦略につながる可能性がある。
 ガンの広がり方は、腫瘍細胞が原発腫から分離して血管を移動し他の臓器に到達し、そこで新たな腫瘍に成長すると言うのが通論である。しかし、血管を循環する腫瘍細胞の寿命は短いことがあるので、そのプロセスについての疑問が残る。また、その細胞がどのように血流から離れて組織に到達するかについても分かっていない。
 研究チームは、腫瘍細胞がアンジオトロピズムというメカニズムで体中に広がることを理論化した。アンジオトロピズムとは、腫瘍細胞が血流に入ることなく、血管の外側に沿って進むことを意味する。
 過去10年、研究チームは腫瘍細胞、特に致死性の皮膚ガン、黒色腫の細胞が微小なクモのように血管の外側を這うように進みガンを広める証拠を集めた。また、移動するガン細胞は、毛細血管を補強する血管周囲細胞を模擬することも確認した。このため、ガン細胞は、人の免疫システムで殺されることがなくなっている。
 研究チームは、これらの移動細胞を初めて3Dで撮像することができた。
 イメージングのために研究チームは、赤い蛍光色素を血管に注入し、緑に染色した人の黒色腫をマウスの脳に注入した。共焦点顕微鏡を使って3D画像を見ると、染色された腫瘍細胞と血管が特殊な光の下で輝くのを確認した。画像は、細胞が注入箇所で原発巣として成長し始めたことを示していた。間もなく、緑の細胞が腫瘍から広がり、赤く染色した血管の外側表面に沿って移動するのを観察した。
 研究リーダー、Laurent Bentolilaは、「もし転移細胞が血管の外側にあるなら、細胞は処置法から逃れてガンを広げ続けることになる」とコメントしている。
 この研究成果により研究者たちは、神経膠種、グリオブラストーマ、膵臓ガン、前立腺ガン、婦人科癌肉腫などの致死性のガンで新たな目標に向かうことができる。