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新開発の光学顕微鏡を用い緑色蛍光タンパク質の回転速度を細胞内で計測

August, 9, 2016, 札幌--北海道大学の金城政孝教授らは,溶液及び細胞内部のタンパク質の回転拡散を計測することに成功した。
 従来の蛍光顕微鏡に,カメラの代わりに開発した装置を接続するという簡便な手法を用いることにより,従来方法では得られなかったブラウン運動によるランダムな分子の回転の速さ「回転拡散係数」を測定することができる。回転拡散は分子のサイズ変化を敏感に感知するため,分子の多量体化の検出に有用であると考えられているが,この手法を用いた研究はほとんど行われていない。
 今回,検出器を複数使用する手法を用いることで,従来は検出器によるノイズに隠されて測定が難しかった数十ナノ秒程度の時間領域で緩和される回転拡散まで検出することに成功し,緑色蛍光タンパク質(EGFP)の詳細な回転拡散の測定に初めて成功した。また,多量体タンパク質の測定から,この手法を用いた回転拡散計測がタンパク質等分子の構造や配向を細胞内で測定することができることが示唆され,シミュレーションにより裏付けられた。この成果は,今回提案する手法が構造生物学や分子分光学において,簡便かつ生体内での測定ができる技術として非常に有力なものとなりうることを示している。

新開発の顕微鏡と研究手法
共焦点蛍光顕微鏡に偏光光学素子を導入して偏光蛍光相関分光法(Pol-FCS)装置を構築し,ノイズ信号を除去するため蛍光検出器として 2 台のアバランシェ・フォトダイオード(APD)を利用。高速領域の蛍光のゆらぎを測定するために,高速で信号解析を行うことができるハードウェア相関器を実装し,各試料の測定を行った。
 また,タンパク質の多量体形成のモデルとして EGFP が複数個連なったタンパク質(EGFP 多量体)を新しく設計し,それぞれにおいて回転拡散の計測を行った。今回は蛍光励起光源として連続発振レーザ(CW)を用いており,従来のパルス発振レーザを用いた時間分解蛍光測定に比べ,コストの面でも安価かつ高速に測定できる手法。
(詳細は、www.hokudai.ac.jp)