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ハーバード大、スーパーから超解像度顕微鏡へ

July, 11, 2016, Boston--ハーバード大学Wyss Institute for Biologically Inspired Engineeringの研究チームは初めて、光学顕微鏡でこれまでの最高の分解能を達成した。相互に密集した単一分子構造からわずか5nmの距離の特徴を識別することができるこの技術は、discrete molecular imaging(DMI):個別分子イメージングと名付けられている。DMIは、研究チームのナノテクノロジーを使った超解像度顕微鏡プラットフォームを新しいイメージング法統合によって強化したものである。
 昨年、DNA-PAINTベースの技術を利用した安価な超解像度顕微鏡を実現した研究者たちが、Ultivue Incをスピンオフした。
「超高解像度DMIは、DNA-PAINTプラットフォームを一歩前進させて、生物学では究極の観察ができるようになっている。この新しい分解能、個々の分子の特徴に焦点を絞る能力により、DMIは、X線結晶学や低温電子顕微鏡など、現在の構造生物学法を補完する。DMIは、単一の多成分複合体における分子配座や異成分の研究に道を開くものである。また、多くのサンプルの同時構造分析に、容易で迅速な多重法を提供するものである」とハーバード医科大学システム生物学教授、Peng Yinはコメントしている。
 Yinの研究チームが開発したDNA-PAINTは、2つの相補的DNA鎖の一過性の結合をベースにしている。1つは、研究者が可視化しようとしている分子標的に付着しており、他方は蛍光染料に付着している。結合と結合解除の繰り返しサイクルが、標的部位染料の非常に明確な点滅動作となる。これはDNA鎖を選択することによって極めてプログラマブルとなる。研究チームはこれをさらに活用して、超高解像イメージングを目指す現在の研究を行っている。
 「われわれのDNA-PAINTベース技術の点滅条件の根底にある重要な側面をさらに活用し、サンプルを搭載している顕微鏡ステージの小さいが極めて破壊的な動きを補償する新しい方法を開発することで、われわれはこれまでの超解像度顕微鏡で可能であったよりもさらに可能性を伸ばすことができた」と論文の筆頭著者、Mingjie Daiはコメントしている。
 Wyss Instituteの研究チームは、合成DNAナノ構造を使ってDMIの超高解像度をベンチマークした。次に、研究チームは、その技術をタンパク質複合体のような実際の生物学的複合体に適用することを計画している。
(詳細は、www.harvard.edu)