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狭波長域UV光で耐性菌を安全に破壊

June, 23, 2016, New York--コロンビア大学医療センタ放射線学研究(Center for Radiological Research at Columbia University Medical Center)のチームは、狭波長域UV光が、マウスの耐性菌MRSA(チシリン耐性黄色ブドウ球菌)を安全に殺し、公衆衛生の大きな懸案事項である手術部位感染を減らす、潜在的に安全でコスト効果が高い方法であることを実証した。
 PLOS ONEに発表された論文では、UV光の「遠-UVC(ここでは207nm)」として知られる特定波長が、従来の殺菌性UV光と同様にMRSA殺菌に有効であるだけでなく、従来の殺菌UVとは異なり、遠-UVCは露出した皮膚に生物学的な損傷を起こさないことを研究チームは確認した。
「新たな知見の示すところでは、遠-UVC光は、致死性で、コストのかかる耐性菌の手術部位感染禍と闘う上で大きな潜在力がある」と論文のシニア著者、David J. Brennerは説明している。
「UVは、薬物耐性菌や、いわゆる“超強力細菌”を含め、全ての細菌を効率的破壊できるので、以前から、UV光が手術部位感染を減らす可能性があることは分かっていた。残念ながら、周辺に人がいると従来の殺菌UV光は使えない。患者や医療スタッフに健康被害を及ぼすからである。以前の研究で明らかにしたことは、遠-UVCが従来の殺菌UV光と同様にMRSA殺菌に有効であること。今回の新しい研究では、遠-UVCが、皮膚損傷リスクなしで、細菌を殺すことを実証した」とDr. Brennerは説明している。
 手術部位感染(SSI)は、米国および世界中で引き続き、重大なヘルスケア問題である。SSIを発症する患者は死亡率が、非感染の患者の2倍になり、SSIによるヘルスケアコストは米国では30~100億ドルになると推定される。
 従来の殺菌UVではなく、コロンビア大学の遠-UVC光利用という新しい考えの背景には、遠-UVCが皮膚の外側の死んだ層を通して生きた皮膚細胞に届かず、目の外層にも浸透しないことがある。しかし、細菌やウイルスは物理的に非常に小さく、遠-UVCはそれらに浸透して破壊することができる。コロンビアの最新の研究は、無毛マウスの皮膚で行われた。これは、UV光に晒されると人の皮膚と同じように反応する。
 この研究に財政的支援を提供したのは、Shostack Foundationと東京のウシオ(USHIO Inc)。ウシオは、コロンビア大学とライセンスおよび研究契約を締結している。