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脳腫瘍をリアルタイムで特定できる新方法

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April, 21, 2016, Amsterdam--アムステルダム自由大学(VU)物理学/レーザ研究所とVUmcの研究チームは、ラベルフリーオプティクス技術が、1秒以下で画像を生成し、脳腫瘍の場所を正確に明らかにできることを示した。従来の方法では丸1日かかっていた。
 ガンの手術で医者は、腫瘍を除去したいのであって健全な組織ではない。脳腫瘍の手術では、これは特に重要であり、難しい。脳腫瘍は健全な組織に入り込んで混ざっているからだ。病理学者は一般に、染色法を用いる。ヘマトキシリンやエオシンのような化学薬品が様々な組織成分を青や赤に変える。これによってその構造や、腫瘍細胞があるかどうかが明らかになる。しかし、確定診断が出るまでに、このプロセスでは24時間かかる。つまり、医者は手術後までガン組織のうちの一部が医師の注意から逃れていることを認識できない可能性がある。したがって二度目の手術が必要になり、危険も増す。
 新技術では、研究チームは、ラベリングや染色を全く使わない。その代わりに、200fsのレーザパルスを組織に打ち込む。3フォトンが同時に同じ場所に集中するときに、フォトンが組織の非線形光学特性と相互作用する。オプティクスではよく知られた第2高調波、第3高調波により、これらの相互作用はシングルフォトンを生成する。

深部組織浸透
 重要な点は、入力フォトンと出力フォトンでは波長が違うと言うことである。入力フォトンは、組織に深く浸透するように1200nmである。しかし、生成されたシングルフォトンは、600nmまたは400nmであり、これは第2高調波発生と第3高調波発生との違いに依存する。波長が短いということは、フォトンが組織で散乱することを意味する。散乱フォトンは組織についての情報をもっており、それがディテクタ、ここでは高感度GaAsP光電子増倍管(PMT)に届くとき、組織内部の様子が明らかになる。
 他の研究者たちはこの技術別のアプリケーションに使用し、例えば昆虫や魚の胚の画像を生成するが、これをグリア脳腫瘍の分析に用いたのは今回が初めて。これらの腫瘍は、実質的な巻き添え効果なしに手術や、放射線治療、化学療法によって除去するのは難しいので、特に致死性が高い。

リアルタイム
 研究チームは、人のグリア脳腫瘍のサンプルでこの方法をテストし、これらの画像の組織学的詳細は、従来の染色法以上ではないにしても、同程度に優れていることを確認した。ほとんどの画像は1分以内に作成できた。最小の画像では1秒以下、数㎜平方の大きな画像でもかかる時間は5分。
 このアプローチが有効であることを示せたので、研究チームは、手術中に腫瘍の境界を明らかにするために外科医が使用できるハンドヘルド機器の開発に取り掛かっている。入力光パルスは、100µmしか組織に浸透できない。これをさらに深く浸透できるようにするために、組織を貫通しフォトンをさらに深く送り込める針を取り付けることをMarloes Groot(物理学/レーザ研究所)は考えている。「われわれの技術により、手術中だけでなく手術前の診断も可能になる」と同氏はコメントしている。