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ワシントン医科大学、レーザ手術で脳腫瘍患者に化学療法の道を開く

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March, 14, 2016, St. Louis--ワシントン医科大学神経外科は、レーザプローブを使って、血液脳関門を開き、致命的な脳腫瘍患者に化学療法薬を送達できるようにした。
 試験研究では、グリオブラストーマの14患者が、腫瘍再発治療のためにほとんど侵襲性のないレーザ手術を受けた。レーザからの熱が脳腫瘍細胞を殺すことは知られているが、予想外にその技術が血液脳関門を透過できることを研究者は発見した。
 「レーザ治療は血液脳関門を4~6週開けたままにしておく、これにより化学療法薬を患者に送達する治療窓が得られる。これは非常に重要である。ほとんどの化学療法薬は保護関門を透過できないので、脳腫瘍患者の治療オプションが非常に限られているからだ」と同大学の神経外科教授、Eric C. Leuthardtは説明している。
 「われわれはトライアルで、密接に患者を追跡している。初期の結果は、平均して患者は予想以上に極めて良好であることを示している。生存および臨床転帰の点で、われわれは力を得たが、非常に慎重でもある。ゆるぎない結論を出す前にさらに多くの患者を評価する必要があるからだ」と同氏は続けている。
 グリオブラストーマは、治療が最も難しい腫瘍の1つである。この種の脳腫瘍と診断された患者のほとんどは、アメリカ癌学会によると、わずか15カ月しか生きられない。
 今回の新しい研究は、患者40名が関わる、大きなフェーズII臨床試験の一環である。試験研究には20名の患者が登録され、そのうちの14名が侵襲性の少ないレーザ手術に適した候補と見なされた。Leuthardtはこの技術の開発に貢献している。
 そのレーザ技術は、脳腫瘍治療に使える外科用具として2009年にFDAが承認している。とは言え、新しい研究は、レーザが血液脳関門を破ることを初めて示した。血液脳関門は、有害毒素が脳に入ることを防ぐが、化学療法薬のような潜在的に有益な薬剤も区別なくブロックする。
 試験の一環として広く用いられている化学療法薬、ドキソルビシンを静脈を通して13名の患者に与えた。暫定データは、研究の短期10週中に腫瘍の進行の証拠が見られなかった患者が12名であることを示している。1名は、化学療法薬が送達される前に腫瘍の成長を経験した。もう一人の患者の腫瘍は、化学療法薬が投与された後に腫瘍が進行した。
 試験では、患者はレーザ手術によく耐えていた。ほとんどの患者は、術後1~2日で帰宅し、重症合併症は全くなかった。患者がMRIスキャナに横たわっている間に手術が行われ、神経外科チームがリアルタイムで腫瘍を観察した。わずか3㎜の切込みを使い神経外科医はロボットを使ってレーザを挿入し、約150°Fで脳腫瘍細胞を加熱し殺した。
 「レーザは期待通りに腫瘍細胞を殺す。しかし、患者のMRIスキャンを見直すと、血液脳関門の機能停止と一致しているように見える、以前の腫瘍部位付近に変化が見られた」とLeuthardtは指摘した。同教授は、同大学放射線医学准教授、Joshua Shimony, MD,とともにこのようなイメージング結果を確認し、さらに研究した。
 研究チームは、追加のテストを行い、血液脳関門を通した透過性が手術後1~2週でピークに達するが、その関門は最大6週間開いたままになっていたことがテストで分かった。
 関門を破る他の試行では、関門は24時間程度しか開いていない。これは化学療法薬を連続して送達するには不十分であり、わずかなメリットしか得られなかった。それに対して、レーザ技術は関門を数週間開放しておくことができ、これは患者が化学療法で複数の処置が受けられる程度の長さである。また、レーザだけが腫瘍付近の関門を開き、脳の他の部分の保護カバーはそのままにしておく。これは、化学療法薬の有害な影響が脳の他の部分に及ばないようにする。
 研究成果は、ガン免疫療法のような他のアプローチもグリオブラストーマ患者にとって有益である可能性も示唆している。研究チームは、また別の臨床テストも予定している。そのテストでは、化学療法を伴うレーザ技術と免疫療法を組み合わせて、通常は血液脳関門を破ることができない標的ガン薬剤をテストする。