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ジョンホプキンス大学、クモの糸のタンパク質の超弾性性を発見

March, 1, 2016, Englewood--ジョンホプキンス大学生物物理学の研究グループは、クモの巣の超弾性のポイントの1つを発見した。クモの巣を作るのにつかわれる糸のタンパク質がスーパースプリングのように機能し、最初の長さの5倍に伸びることを発見した。
 研究グループは、生体細胞のタンパク質が感ずる伸び縮みを計測するツールの研究に取り組んでいる。これは、がん転移中の細胞間のズレ力を含む多くの生体的イベントを明らかにするツールになる。
 「生物学的、非生物学的なすべての他のスプリングは、それに与えられた力に直接比例するように伸びるが、元の長さの120%程度までしか伸びない」と主席研究者, Taekjip Haは説明している。「そこから、前と同じ長さに伸ばすにはさらに力を加えなければならない。しかし注目していたクモの糸のタンパク質は力に直接比例して伸び続け、最大500%に伸びる」。
 この研究の共同研究を行ったバージニア大学のチームは、クモの糸のタンパク質から採った鞭毛として知られる繰返しアミノ酸配列をビンキュリンという人のタンパク質に挿入した。蛍光顕微鏡を使い、生きた細胞のビンキュリンに働く力をリアルタイムで見ることができた。Haのチームは、顕微鏡で見たものを力の計測に変換することに寄与した。
 Haによると、クモの糸の挿入がそのような線形挙動を示すとは考えていなかった。と言うのは、挿入物が明確に定義された3D構造ではなかったからである。
 「通常、非構造化タンパク質は、それを引っ張ると無秩序な非線形挙動を示す。これらがそうならないと言うことは実際、タンパク質の力学の研究に有用なツールになることを意味する。その挙動が理解しやすく、予測しやすいからである」とHaはコメントしている。
 以前の研究からの鞭毛の挿入は、すでに多くの生物学的現象の研究に使われた。それにはがん転移中の細胞間のズレ力、単純なた細胞組織、蠕虫の発展中に見られる細胞の押す、引くという動きも含まれる。
 「張力は、細胞内の多くの活動にとって重要である。細胞は、環境における機械的な力を感知し、それに応じてその挙動や機能を変える。今、このような力を観察し理解する方法が得られ、またそれがどのように生きた細胞の中において分子レベルで伝達されるかを理解する方法が得られている」とHaは説明している。