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高分子ファイバでワイヤレス電極をつなぐ―電子デバイス配線への応用に道

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February, 4, 2016, 東京--東京工業大学大学院総合理工学研究科の稲木信介准教授、小泉裕貴博士後期課程1年、冨田育義教授らは、ワイヤレス電極(バイポーラ電極)を用いた電解重合法により、導電性高分子がファイバ状に成長する現象を発見した。この現象を応用して、ワイヤレス電極間を高分子ファイバでつなぎ、ネットワーク化することにも成功した。
 通常の電解重合法では膜状の導電性高分子が生成するが、研究グループはバイポーラ電極上でモノマーの電解重合を行うことで、様々な形状のファイバを作成する技術を開発、今回は数マイクロメートル(µm)径のファイバ状に成長させた。
 ワイヤレス電極に金属線を用いた場合、その末端同士を導電性高分子ファイバにより選択的につなぎ、ネットワーク化できる開発技術は、エレクトロニクスデバイスにおける配線技術としても期待される。
 研究成果は1月25日発行Nature Communicationsオンライン版に掲載。
 研究グループは、バイポーラ電気化学に基づくワイヤレス電極上での電解重合を検討した結果、モノマーとして用いた3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の重合体であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)がワイヤレス電極末端からファイバ状に成長する現象を見出した。
 低濃度の電解質を含むアセトニトリル電解液中に独立して並べられた二つの金線の外部より交流電圧を印加し、バイポーラ電極化させた。ワイヤレス電極の両端が陽極、陰極としてそれぞれ振る舞い、その極性は交流周波数に依存し周期的に変化することから、両端においてEDOTの重合が進行した。それぞれの金線末端から外部電場方向にPEDOTファイバが成長する様子は、光学顕微鏡により観察可能であり、1mm間隔を約90秒で架橋した。また、得られたファイバの電子顕微鏡像から数µm径のファイバを形成していることがわかった。モノマー構造を変えることで、多彩なファイバ形状を得ることにも成功した。
 交流電場の印加と低電解質濃度条件が鍵であることを実証し、重合初期段階のイオン種が外部電場の影響を受けて電気泳動しながらファイバ状の重合体が析出するメカニズムを明らかにした。
 この研究で発見した電解重合法は、外部から電場を印加するだけの簡便な手法で、金属線末端から導電性高分子を自発的にファイバ成長させることができるため、所望の金属線間を選択的に導電性高分子ファイバで架橋することができる。これは導電性高分子配線のエレクトロニクス応用に向けた画期的な技術である。
(詳細は、www.titech.ac.jp)