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複屈折ベースの新しい診断法でマラリア、HIVなど素早く検出

December, 16, 2015, Zurich--Raffaele Mezzengaをリーダーとするチューリッヒ工科大学(ETH)の研究チームは、新しい診断法を開発した。それは、光の偏向状態を変える物質の能力、複屈折をベースにしている。この方法により、世界中の医師は、マラリア、エボナ、HIVなどを簡単、迅速、高信頼に検出できる。
 一滴の血液を特殊キャリア物質に落とし、数分後、そのスライドを安価な偏向フィルタを利用した偏向光を発するデバイスの上に置く。それを第2の偏向フィルタを含む蓋でカバーする、これが全ての物質からの光を阻止する。ただし、方向性をもつ結晶、そのような物質からの光は除外される。光が交差偏向フィルタを透過して見えるなら、確定診断となる。これにより、ただちに「イエス」「ノー」スクリーニングが可能になる。また光強度を計測することもでき、スマートフォンにプラグインしアプリで制御された簡単な照度計で病原菌の量、つまり光強度を計測できる。
 研究チームは、脂質ベースのリオトロピック液晶からの複屈折偏向光現象を利用する。この結晶は、水中の脂質分子の自己組織化構造で構成されている。Mezzenga教授のグループは、長年このような液晶の研究に取り組んでおり、それを薬剤輸送やタンパク質結晶化など、他のアプリケーションにも活用している。
 リオトロピック液晶は、固有の対称性をもつ特殊ネットワークに自己を組織化する。つまり基本モチーフが周期的に繰り返される。液晶立法相では、チャネルが水中の脂質二分子膜で構成さており、直径がわずか数ナノメートル。したがって、液晶内ではわずかな遊離水分子が利用できるだけであり、大半はチャネル壁に結合する。このような液晶立法相は等方性であり、複屈折性を持たない。つまり、リオトロピック液晶膜を持つスライドが偏向光を透過させるように光源の下に置いたとき、別の90°ずらしたポラライザを通して観察すると黒く見える。
 複屈折性を実現し信号を受け取るために、研究チームは結晶にある酵素を加えてナノチューブの中で化学反応が起こるようにした。ナノチューブの中でわずかな量の水が自由に利用できると、沈殿して結晶を形成する反応生成物は、それ自体が複屈折である。第1のフィルタに対して垂直に、上に置いた第2の偏向フィルタを通してサンプルをよく見ると、酵素がテスト物質に反応した例では光のパタンが見える。「この複屈折パタンは、われわれが診断や回折に必要とする唯一の信号である」とMezzenga教授は話している。
 研究初期には、研究チームは酵素で転換される化学成分でテストした。次に、その方法を改良し、それを医療に関連がある物質、グルコーズやコレステロールに適用した。さらに次のステップでは、範囲をバクテリアやウイルスに広げ、HIVウイルスから始めた。やがて、マラリア原虫によって起こるマラリアに適用できることも示すことができた。
(詳細は、www.ethz.ch)