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新しいナノツールでレセプタのリガンド結合研究

November, 30, 2015, Frankfurt--ゲーテ大学フランクフルトのRobert TampéとRalph Wienekeの研究チームが開発した新しい高解像度法により、初めて2つのリガンドと受容体との相互作用を高精度に同時識別し定量化することができる。その新方法はNature Communicationsに掲載されている。
 原子間力顕微鏡(AFM)は、表層のナノスケール評価にとって強力な技術である。非常に微細な先端のカンチレバーを利用する。FDベースAFM(Force-distance curve-based AFM)は、高解像度イメージングと単一分子力分光法を統合している。生体サンプルを用いた研究では、AFM先端は、ピクセルごとにサンプルにアプローチし、後退する。FDベースAFM法は、ツールボックスとしてAFM先端の異なるコーティングを利用する。そのような方法は、近年目覚ましい進歩を遂げた。特異結合部位検出には、FDベースAFMはリガンドをAFM先端に連結する必要がある。膜内のタンパク質複合体の形状を測定しながら、機能性AFM先端はタンパク質と連結リガンドの相互作用を計測することができる。単一の膜受容体を撮像し同時にそれの複数のリガンドとの相互作用を検出することは以前はできなかったが、新しい方法はこのハードルを克服した。
 概念証明のために研究チームは、人のプロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)、Gタンパク質共役型受容体の大きなファミリーの一つを用いた。GPCRは、ホルモンや神経伝達物質とほとんどの細胞応答を仲介し、視覚、嗅覚、味覚にも関与している。GPCRは、細胞膜内の異なる機能状態で共存することができ、多様な力、親和力で様々なリガンドを結合する。GPCR PAR1は、凝固プロチアーゼトロンビンによって活性化される。これは、シグナリング伝達カスケードを引き起こして、止血、血栓形成、炎症、それに組織修復を組織化する細胞応答をスタートさせる。新しいFDベースAFM法の助けを借りることで、プロテオリポソームの人PAR1が撮像され、同時にPAR1と2つのリガンドの細胞外、細胞内相互作用が検出できる。界面化学と開発されたナノスコピック法は、体外、体内の生体系に適用可能である。