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フランウンホーファーIPMS、ハンディタイプの網膜スキャナ開発

May, 7, 2014, Dresden--網膜に基づいて、明確に人を特定することができる。これを実現するために、フランウンホーファー(Fraunhofer Institute for Photonic Microsystems)IPMSの研究チームは、この技術をだれでも使えるように研究を進めている。開発したコンパクトなポータプル網膜スキャナにより、目標実現に一歩近づいた。
 網膜により人はものを見ることができるが、網膜は人の特定にも使える。網膜の血管パタンは、人ごとに異なる生体認証的特徴を持っている。特殊な網膜スキャナを用いることで、旅行中に、安全に間違うことなく本人確認ができる。例えば、銀行取引、スーパーでの支払い、車の解錠など。しかしこうした機器は大きすぎて持ち運びに不便であった。
 フラウンホーファーIPMSの研究チームは、小さく、人間工学的に人の手に合った、メガネをかけた人にも適している網膜スキャナのプロトタイプを国際トレードショーOptatecで紹介する。研究チームは、網膜撮像に必要な光コンポーネントを12×9×6㎝の体積に収めた。これに含まれているコンポーネントは、赤外レーザ、接眼鏡、MEMSスキャニングミラー。特にMEMSスキャニングミラーは、この光学システムのコンパクト化に貢献している。
 このシリコンベースのマイクロエレクトリックコンポーネントは、マイクロチップ程度のサイズ。これによって、網膜をスキャンできるように、光学的に安全なレーザビームの方向を変え、組み込んだ光機器が反射レーザビームから網膜表面の画像を撮る。網膜の血管は周囲の光受容体よりも反射する光が少ないので、そのパタンははっきりとマッピングできる。このパタンは、指紋や虹彩、顔の特徴、あるいは声のように、人毎に違っているので、その人を特定することができる。
 ポータブル網膜スキャナはドイツ教育科学研究技術省(BMBF)が支援するMARS研究プロジェクトの成果。“MARS”は“Mobile Authentication via Retina Scanner.”(網膜スキャナによるモバイル認証)の略。システムはすでにモバイルであるが、このプロジェクトの終わり(2014年12月)までには研究チームはエレクトロニクスを組み込む予定。