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ディープラーニング対応の画像処理プログラム開発ソフトを紹介

May, 21, 2020, 東京--マイクロ・テクニカは、2020年5月15日に画像処理プログラム開発ソフトウェア「Adaptive Vision Studio」を紹介するオンラインセミナーを開催した。ポーランドのAdaptive Vision社が開発するAdaptive Vision Studioは、マウスによる直感的な操作や1000以上のライブラリ、多くの外部機器と接続が可能といった特徴をもつ、オールインワンの画像処理パッケージソフトウェアだ。ディープラーニング機能もオプションで用意されており、多様な画像処理プログラムをすばやく作成できる。

●画像処理検査は必須技術に
 工場などにおいて、目視検査に代わる画像処理検査はますます重要となりつつある。背景にあるのが労働人口の減少だ。また転職者の数も、新型コロナの影響で一時的に減る可能性があるものの、長期的には確実に増加するとみられる。このように人を集めにくく、また定着しにくい状況の中で、安定した目視検査を維持することは難しくなっている。とはいえ画像処理システムの構築は初めての人には敷居が高いと思われがちだ。
 Adaptive Vision Studioの大きな特徴は、操作が非常に簡単なことである。コーディングの知識を必要とせず、マウス操作で直感的にプログラムを作成できる。またバーコードの読み取りやパターン一致をはじめ、1000以上の画像処理の機能が用意されているため、自由に組み合わせて多様な画像処理プログラムを作成することが可能だ。「ルールベースと呼ばれる画像処理機能なら、一般的に必要とされるものは網羅的に備えている」(マイクロ・テクニカ)。
 簡単なプログラムおよびGUIであれば作成するのに10分も掛からない。ルールベースは難しい、自動化のノウハウがない、開発工程を短縮したいといった声にも応えるツールだといえる。一方で、作成したプログラムをC++コードなどに変換し、より上位にあたるプログラムに組み込むといったことも可能である。さらに多様なカメラや照明、PLCをはじめとする外部機器とも接続できる。

●5つのDeep Learningを利用可能
 Adaptive Visionのオプション機能「Deep Learning Add-on」には、現在5種類のDeep Learning機能が用意されている。もちろん新たなプログラミングスキルを必要とせず、1つのソフトウェア内でほかの画像処理ライブラリと組み合わせての開発が可能だ。
 Deep Learning機能は5種類が用意されている。「Detect Anomalies」は、画像にOKまたはNGのタグをつけて学習させ、OKとNGの区別を行う。弁当のような種類が多く個体差の大きいものに向く。「Defeet Features」は、色を塗るように対象物の特定の領域を指定し、その領域と類似するものを検出する。パンであれば焦げを検出し、一定以上の面積ならNGとする。航空写真から道路を見つけ出すといったことにも応用できる。
 「Classify Object」は分類分けの機能である。処理時間も短いので動画に適用できる。「Segment Instances」は、対象物の領域の検出およびラベリングを同時に行う。たくさんの錠剤について、種別に検出し、製品名を画像上に重ねて表示するといったことが可能だ。「Locate Points」は、画像の中にある特徴点を点として学習し、その特徴点を検出する。動画で巣の上にいるたくさんのミツバチをトラッキングするといったことが可能だ。
 現在、Adaptive Vision Studioの新バージョンが公開されており、並行して実行する複数のプログラムを作成できるようになった。また、イベントが発生した時に実行される個別のサブプログラムを作成できるといった機能追加が行われている。