国内リポート 詳細

キヤノンITソリューションズ、ドイツ・LuxFlux社製統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアの提供を開始
半導体、フィルム・素材、FPDなど、産業界における対象物の可視化・分類・測定を実現

December, 10, 2019, 東京--キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンIT ソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:金澤明氏)は、ドイツのLuxFlux社(本社:ドイツ、ロイトリンゲン市、CEO:Jan Makowski氏)と販売代理店契約を締結、同社製統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアの提供を開始した。
 IoT やAI などの技術革新によって、産業界では顧客ニーズに合った製品が短期間で開発、出荷されるようになったが、その一方で高い品質要求や生産現場における人手不足に対応するため、工場の自動化(FA化)や作業の効率化などが強く求められている。特に製造ラインでは、製品検査において高い技術が要求されており、対象物が繊細かつ緻密である食品加工分野や半導体製造分野では、出荷検査の工程において多くの課題を抱えていると言われている。
 同社が提供するLuxFlux 社製統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアは、ハイパースペクトルイメージング技術を中心としたデータ処理を行う汎用的な産業用ソフトウェア。機械学習(AI)による解析・測定モデル開発ができるとともに、製造ラインにおいて対象物の可視化、分類、測定が可能だ。
 ハイパースペクトルイメージング技術とは、紫外~可視~赤外の光の領域の内、数十以上の波長から分光イメージングデータを得られるハイパースペクトルカメラとそのデータを解析する技術の総称であり、多数の波長を利用できるため、従来のRGB カラーカメラで撮影するよりも多くの情報を取得でき、広範な分析や研究用途に用いられてきた。
 ハイパースペクトルカメラの世界市場は年6%で伸び続け、2021年には500億円を優に超えると予想されている。一方、日本の市場は、現状では大学・研究開発向けが中心だが、産業用市場は今後、世界の伸びを上回る年20%以上で伸長して、2021年には35億円を超えると予想されている。この流れに伴い、ハイパースペクトルカメラから出力される膨大な情報を処理する汎用ソフトウェアの市場においても、需要の高まりが予想されている。
 ハイパースペクトルイメージング技術は、これまで対象物の「分類」を中心に活用されていた。これに対しLuxFlux 社の統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアは、「分類」用途に加え、薄膜の厚さや薬・食品など対象物の成分量を「測定」できる。そのため、これまでは難しいとされていた半導体やフィルム・素材、FPD などの製品検査(厚み測定やキズ・ムラ判定など)での活用が可能になった。その計測・測定原理は波長の干渉性を利用したもので、厚み全体に対して0.05%の分解能(厚み2000nmで1nmの分解能)を実現したという。
 同製品は、開発環境の「fluxTrainer」と実行環境の「fluxRuntime」の2つで構成されている。「fluxTrainer」は、ハイパースペクトルカメラで撮像した大量のデータの中から波長分類(特徴量を抽出)を行い、AIによって学習モデルを生成および検証する学習用の開発環境ソフトウェア。これまで困難とされてきたハイパースペクトルデータに含まれる何百という波長の膨大な光学情報を網羅的に処理することができる。AI を用いた学習モデル生成が可能なので、ユーザーの検証作業が容易で、データサイエンティストは不要とのことだ。
 一方の「fluxRuntime」は、「fluxTrainer」で生成した学習モデルをもとに、リアルタイムで対象の判定をする実行環境のソフトウェア。キャリブレーションや対象の位置補正、コントローラやPLC(Programmable Logic Controller)との連携も可能で、生産・検査ラインで得られた結果をチューニングでき、従来の研究用解析ソフトでは考慮されていなかった生産現場の業務でもスムーズに活用できるという。
 活用例としては、(1)半導体、ディスプレイ、フィルムなどの膜厚測定、キズ計測、塗布のムラ判定、(2)食品、医薬品、化粧品など成分量の測定、(3)衣服、繊維などアパレル製品の素材分類、(4)クレジットカードなどのトレースや紙幣など印刷物の着色剤分布、(5)精密農業や環境保護に対するリモートセンシングなど、広範な分野で使用できるが、同社では特に新規応用分野として半導体膜厚測定に期待しているという。販売については、直販に加えて既存のSIパートナーと、同じく既存の画像専門商社の他、新規のSIパートナーの開拓も進めて拡販を行う計画だ。
 同社では、順調に成長するマシンビジョンシステム市場に向けた製品ラインアップ強化に加え、急成長が期待できるハイパースペクトル画像処理ソフトウェアを提供することによって「可視化」、「分類」、「測定」といった従来の可視光では不可能な用途に活用できるハイパースペクトルデータの産業利用・AI化の画像処理市場を創出するとともに、これら製品群の販売によって2022 年に1億円の売上げを目指すと述べている。
(川尻 多加志)