January, 22, 2026--PTBとTOPTICAが協力し光時計開発を推進
Win-Winなコラボレーション
これこそが技術展開成功の姿です。新しい技術は単に開発されるだけでなく市場に投入できる状態にまで仕上げられました。今回オーストリアの顧客は、より高精度に“時間をつくる”ことが可能になります。同時にPTBはTOPTICAとのこの科学的協力から貴重な知見を得ることができました。

TOPTICLOCKシステムを分解しウィーンへ発送する直前、士気は高まっていた。PTB のクロックホールでポーズを取っているのは Nils Huntemann (PTB)、Axel Friedenauer 、 Pierre Thoumany (TOPTICA)、 Saaswath Jeyalathaa Karthikeyan (PTB) 。(写真:PTB)
一見すると時計らしくない時計
「えっ、これが時計?」Braunschweig にある PTB の原子時計ホールを初めて訪れる人々のよくある反応です。そこに並ぶ装置は、一般的な時計とはほとんど似つきません。特に最先端の装置である光原子時計はその典型です。各セットアップの主な特徴は、大きな光学テーブルの上に広がる複雑な鏡やその他の光学部品の迷路です。これらはレーザービームを正確に定義された経路に沿って導きます。光時計において、レーザーは従来の時計における振り子や水晶発振子と同じ基本的な役割を果たします。それは時間を測定し表示するために必要な安定した振動の提供です。光時計の振動周波数は非常に高いため、これらの時計は驚異的な精度を達成します。
ラックに収まった時計
「こちらをご覧ください。」 Nils Huntemann は、原子時計ホールの前方にある二つの白い二重キャビネットを指差します。「これが Opticlock と TOPTICLOCK、いわば姉妹のようなものです。」これらの光原子時計は、それぞれ二つの白いスチール製筐体に収められており、レーザーシステム、イオントラップ、光学共振器など、必要なものすべてが含まれています。
二つのうち古い Opticlock は、2017年から2020年末にかけて、PTB、複数の産業パートナー、二つの大学が参加した大規模な共同プロジェクトの一環で開発された物です。Huntemann は説明します。「これは量子技術の初期のパイロットプロジェクトの一つで、量子技術を社会実装させることを目的としていました。我々の目標は、光原子時計を二つのキャビネットに統合できることを実証し、専門家でなくても操作できるほどユーザーフレンドリーにすることでした。」Opticlock コンソーシアムはその両方の目標を達成し、現在も Huntemann のチームはこのシステムを研究に使用しています。彼は付け加えます。「今はその堅牢性と精度の向上に注力しており、TOPTICLOCK との協力から得られた知見のいくつかが非常に役立っています。」
技術展開に中立的なパートナーであるPTB
新たな知見を得ること。それが PTB が TOPTICA と協力して TOPTICLOCK を開発する主な動機でした。バイエルン州 Graefelfing に本社を置き、世界各地に子会社を持つ TOPTICA は、科学および産業用途向けの高精度レーザーを専門としています。同社はすでに Opticlock プロジェクトに関与しており、次のステップに進むため、事業化リスクも引き受け、市場投入可能なバージョンのシステムをさらに開発する体制を示しました。
ライセンス契約を通じて、TOPTICA は PTB で開発された主要コンポーネント、制御ソフトウェアやシステムの中核である単一イオントラップの設計へのアクセスを得ました。Huntemann は強調します。「私たちは他の企業にも同様の支援を提供しています。PTB は中立的な立場で活動しています。過去には個別のコンポーネントをライセンス供与したことはありましたが、時計システム全体を商業化しようとしたのは今回が初めてです。」
全行程に渡った専門的な指導
「本当にWin-Winな関係です」と TOPTICA の Senior Director Quantum Technology Solutions である Stephan Ritter は同意します。「PTB にある専門知識の深さは他に類を見ず、開発プロセス全体を通じて受けた支援は卓越していました。」
Graefelfing にある TOPTICA のチームがシステム構築を担当する一方で、PTB の Huntemann のチームは継続的な技術支援を提供しました。ほぼ完成した TOPTICLOCK は現在、Braunschweig にある PTB の原子時計ホールに輸送され、オーストリアの最終ユーザーに納入される前の最終的な特性評価が行われています。
この特性評価とは、PTB 自身の原子時計と比較し、いわゆる「不確定性バジェット」を確立するプロセスです。Huntemann は言います。「その不確かさはおよそ 2 × 10⁻¹⁷ になると予想しています。これは現在秒の定義に使われている一次セシウム時計よりも約10倍優れており、ビッグバン以来の誤差が10秒未満に相当します。」
新しい時計は TU Wien とオーストリアの国立計量研究所 BEV によって共同運用される予定です。セシウム時計は依然として現行標準ですが、光時計はすでにより高精度であることを示しており、秒の再定義につながる可能性を秘めています。現在、複数の種類の光時計がこの役割を競っています。正式な決定が下されるまでの間であってもTOPTICLOCK のような光時計はすでに標準に近い性能を提供しており、最終的に採用されれば現行の基準を凌駕することになります。
今後のさらなる時計への着手
TOPTICA はこの初号商用プロトタイプからの収益を公表していませんが、Stephan Ritter はすでに二台目の TOPTICLOCK に対する需要があることを確認しています。「私たちはちょうど製造を始めたところで、生産サイクルには約2年かかります。」TOPTICA はこの二台目の製造においても PTB のサポートを受ける予定です。その後にはこの技術は完全に産業界に対応できる状態になる事を見込んでいます。
Huntemann は説明します。「それこそがまさにゴールです。PTB は初期段階で不可欠な専門知識を提供します。実際、私たちの法的な使命であるドイツ計量・時間法 は、我々のノウハウを産業界へ移転することを義務付けています。システムが成熟し、商業生産に適したものとなれば、PTB は身を引くまでとなるのです。」
新たなサービス提供に向けて
TOPTICLOCK や類似の原子時計に対して、PTB が今後も担い続ける役割のひとつは計量学的特性評価です。これは、PTB が今後定期的に提供する予定のサービスです。現在は研究パートナーシップの一部ですが、EU資金によるプロジェクト Qu-Test の下で正式なサービスとして開発される可能性があります。その目標は、光単一イオン時計やその他の量子技術の標準化された特性評価です。
この記事が9月下旬に完成した直後、再びエキサイティングな展開がありました。特性評価が成功した後、TOPTICLOCK は TOPTICA の専門家によって慎重に分解され、輸送モジュールに梱包され、トラックに積み込まれました。目的地は Viennaです。
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