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ムーア財団、実用的な「チップ加速器」プロトタイプ開発に1350万ドルを出資

November, 24, 2015, Menlo Park--スタンフォード大学をリーダーとする研究チーム(DOEのSLAC国立加速器研究所を含む)は、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団から1350万ドルの資金を獲得し、「アクセラレータ・オン・ア・チップ」として知られる画期的な技術をベースにした靴箱サイズの実用的な粒子加速器を建設する。
 巧妙に作製されたチップ列を通して電子をレーザ光で押し出すこの新しい技術は、粒子加速器のサイズとコストを飛躍的に縮小することで科学、医療および他の分野に革命を起こす可能性がある。
 その考えに40年間取り組んでいるスタンフォード大学応用物理学教授、プロジェクトの共同主席研究者、Robert L. Byerは、「生物学、材料科学、それにセキュリティスキャニング、薬物療法などの潜在的なアプリケーションで予想もしなかった発見が、この新しい世代のテーブルトップ加速器から期待できる」と見ている。
 小さな加速器の実用的なプロトタイプを造るという国際的な取り組みは、SLACやスタンフォードの研究者をリーダーとする実験、それとは独立にドイツのフリードリッヒ・アレグザンダ大学エアランゲン-ニュルンベルク(FAU)の実験からヒントを得ていた。両チームとも、2013年同日に発表された論文で、レーザによって粒子を加速する可能性を実証していた。
 SLAC/スタンフォードの実験では、電子はまずSLAC加速器テストファシリティでほぼ光速に加速された。この点でほぼ最高速に達することができ、追加の加速は、スピードではなく、エネルギー増強となる。
 次に高速電子はシリカガラスでできたチップに入り、微小なトンネルを通り抜ける。トンネル壁面にはリッジが刻まれている。チップを照射するレーザ光はそのリッジと相互作用し電場を生成。電場は、通過する電子のエネルギーを増加させる。
 実験では、チップは所定の距離で加速勾配、つまりエネルギー増強を達成しており、これはSLACリニア加速器の約10倍強くなった。全潜在能力では、2マイル長の線形加速器を一連の加速器チップ100m長で置き換えられることになる。
 FAUのPeter Hommelhoffが行った実験、並列アプローチでは、最初は光速付近まで強化されていなかった低エネルギー電子の加速にレーザが利用できることも実証された。
 単一チップが機能することの実証は重要な一歩であり、次に必要なことは、数ある技術内容の中で、適切なチップデザインと電子を生成し操作する最良の方法を実現すること、多数のチップにレーザパワーを分配し、微小チップトンネルに直径が1000倍小さな電子ビームを通すことだった。
 「チップは最も重要な構成要素であるが、実際に使える加速器はこのコンポーネントを遙かに超えるものである」とプロジェクトの主席研究者、物理学教授Hommelhoffはコメントしている。
(詳細は、www.stanford.edu)