November, 16, 2015, West Lafayette--微小物体を素早く正確に位置決めし場所を固定することができる新しいタイプの「ナノトゥイザー」は、改良ナノスケールセンシング法を可能にし、量子コンピューターや超高解像度ディスプレイなどの先端技術の製造研究に役立つ。
パデュー大学バークナノテクノロジーセンターで作製されたデバイスは、直径320nmの円筒形金「ナノアンテナ」を利用する。その構造が光を集中して吸収することで「プラズモニックホットスポット」が生まれ、液体中に浮遊したナノスケールの物体を操作することが可能になる。
プラズモニックデバイスは、表面プラズモンと呼ばれる電子群を利用して光を操作、制御する。ナノトゥイザーの潜在的アプリケーションには、高感度ナノスケールセンサ、合成ナノ物体、ウイルスやタンパク質など自然のナノ物体の研究がある。超解像度「光流体ディスプレイ」、量子ロジックユニット向けのプラズモニック回路など多数の先進的技術を可能にするプラズモニック材料用の「ナノアセンブリ」の開発にも利用する。
ナノトゥイザーは、ナノダイヤモンド粒子、他のナノスケール発光構造を含むデバイスの開発に使用される可能性もある。このような発光構造は、シングルフォトン生成強化に利用することができる。シングルフォトンは、量子情報処理の重要要素。
ナノトゥイザーシステムは、オンデマンドで流体の対流を起こすことが示された。これにより、単一のプラズモニックナノアンテナを利用して1秒あたりマイクロメートルでナノ粒子を輸送することができる。これは、これまでは不可能と考えられていた」と博士課程学生、Justus C. Ndukaifeは説明している。
以前の研究では、単一のプラズモニックナノアンテナをを使った対流は、1秒に10nm以下と弱すぎてそのような力強い対流を起こせなかった。したがって浮遊粒子の輸送はできなかった。
しかし、研究チームはこの限界を克服し、粒子の位相速度を100倍にした。ここで用いたのは交流電界と加熱。他の方法ではあり得ないほど力を強めるためにレーザを使ってプラズモニックナノアンテナを加熱した。「これによってプラズモニックホットスポットの傑出した空間分解能を高速動電パタニング(REP)領域に持ち込むことになる」と機械工学教授、Steve Wereleyはコメントしている。
「局所的な電磁場は、プラズモニックホットスポットでは200倍以上に強化される。このシステムで興味深い点は、われわれは粒子をトラップするだけでなく、こうしたホットスポットがあることで有益な仕事もできることだ。ホットスポットに粒子を入れると計測ができ、またそれがホットスポットにあることでセンシングが強化される」とNdukaife氏は説明している。
新しいハイブリッドナノトゥイザーは、近赤外レーザ光と電界を組み合わせており、これによって「電熱プラズモニックフロー」が起こせる。
「電界を切るとレーザが粒子を定位置に保持するので、2つのモードで動作が可能になる。まず、交流を使って高速輸送、次に電界を切ってプラズモニックピンセットモード」。
プラズモニック構造を用いて電熱プラズモニックフローを起こしたのはパデュー大学の研究チームが初めてである。
このシステムは、画像投影のパタンを作ることも可能であり、潜在的には超高精細ディスプレイの可能性がある。
レーザは粒子をトラップし、正確にその位置を決めることができる。その技術はポリスチレン粒子で実証された。
(詳細は、www.purdue.edu)