November, 6, 2015, 東京--NICT 統合データシステム研究開発室は、クレアリンクテクノロジー(クレアリンク)の協力の下、10Gbps(10G)を超える長距離広帯域伝送網(LFN)でも遅延やパケットロスに強い通信プロトコルHpFP(High-performance and Flexible Protocol)の開発に成功した。
今回開発したプロトコルにより、10Gインターネットでも、大容量ファイル転送や高速Web閲覧、低ノイズ4K/8K映像伝送などの広帯域ネットワークを十分に活用できるアプリケーションが可能になる。
NICTは、クレアリンクの協力を得て、10Gの高速通信環境において、遅延やパケットロスに強い独自設計のデータ通信プロトコル(HpFP)を開発した。また、それに伴い、試験実装版(α版)の公開を開始した(http://hpfp.nict.go.jp)。HpFPは、NICTがこれまでにJGN-Xテストベッド環境で行ってきた10Gを超える長距離広帯域伝送網(LFN)におけるデータ通信実験成果を基に、クレアリンクが開発したTCP高速化パケット伝送制御技術「xTCP」を用いて、独自のアルゴリズム設計により実装したトランスポート層のTCP互換(プログラムレベルで置き換え可能な)通信プロトコル。
10Gネットワークで様々な遅延・パケットロスを与えた結果を、TCPと比較すると、遅延やパケットロスがない環境では、TCPもHpFPも、ほぼ利用できる最大通信速度(ワイヤーレート)を達成している。一方、遅延やパケットロスが大きくなると、TCPは通信速度が大きく低下するのに対し、HpFPは通信速度に変化がないことが分かる。例えば、パケットロス0.1%で遅延10ミリ秒(ms)の場合、HpFPとTCPの速度比は約145倍になる。
HpFPは、パケットロス1%で遅延100msの場合でも、ほぼ同じ結果を得ている。
HpFPは、TCP互換設計となっており、TCPのソケットライブラリをHpFPライブラリに置き換えるだけで、既存の通信アプリケーションを高速化できる。HpFPの通信ソケットライブラリは、標準的なC言語により記述しており、OSに依存しないことが特徴。
現在は、Linux版のみを実装・公開しているが、今後は、その他の主要なOS(Windows, Mac OS X、iOS、Android)で動作するソケットライブラリの開発を進める。