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HZDRとUS研究者、広帯域グラフェン光ディテクタを開発

November, 4, 2015, Dresden--ヘルムホルツツェントルム・ドレスデンローゼンドルフ(HZDR)の研究チームは、米国とドイツの研究者と協働して、あらゆる波長の入力光に迅速に反応し、室温で動作する、新しいグラフェン光ディテクタを開発した。
 単一のディテクタが、可視光から赤外、テラヘルツ照射までのスペクトル範囲をモニタできたのは初めてである。HZDR研究チームは、すでにその新しいグラフェンディテクタをレーザシステムの正確な同期に使用している。
 炭化ケイ素上の薄いグラフェンフレークと未来風のアンテナ、これが新しいグラフェンディテクタ。先行する他のシングルディテクタシステムと違い、この比較的簡素で安価な構造は、可視光からテラヘルツ照射までの膨大なスペクトル範囲をカバーすることができる。「シリコン、GaAsなど、他の半導体と比べて、グラフェンは非常に大きなフォトンエネルギー範囲で光を拾い上げて、それを電気信号に変換する。その理想条件を作るには広帯域アンテナと適切な基板があればよかった」とHZDRのイオンビーム物理学・材料研究所の物理学者Dr. Stephan Winnerlは説明している。
 2013年、当時HZDRのPhD学生だったMartin Mittendorffがグラフェンディテクタの先駆けを開発した。現在メリーランド大学ポスドクの同氏は、ドレスデン、マールブルク、レーゲンスブルク、ダームシュタットの研究者とともにそれを完成させた。その動作方法はこうなっている。グラフェンフレークとアンテナアセンブリが光を吸収、その結果フォトンのエネルギーがディテクタに送られ高速電気信号が生成される。ディテクタは、わずか40psで入射光を記録することができる。
 その小さな光トラップの改善では、基板の選択が重要ステップをなすことが分かっている。「過去に利用された半導体基板は、常にある波長を吸収するが、炭化ケイ素はそのスペクトル範囲でパッシブのままである」とStephan Winnerlは説明している。次に、煙突のように働くアンテナもあり、それは長波の赤外とテラヘルツ照射を捉える。したがって研究チームは、スペクトル範囲を前モデルと比較して90倍広げることができ、検出可能な最も短い波長は最も長い波長よりも1000倍小さくすることができた。比較すると、赤色は可視光で最も長い波長であるが、可視光で最も短い波長である紫色のわずか2倍である。
 このユニバーサルディテクタはHZDRですでに、2つの自由電子レーザと他のレーザとの正確な同期に使用されている。このアライメントは、「ポンププローブ」実験では特に重要である。研究者は、1つのレーザを材料の励起(ポンプ)に使い、別の波長の第二のレーザを計測(プローブ)に使うからである。レーザパルスは、そのような実験では正確に同期されていなくてはならない。したがって研究者はグラフェンディテクタをストップウオッチのように使っている。それはレーザパルスが何時目標に達したかを知らせ、その広帯域はディテクタの変化が潜在的な誤差原因にならないようにするために役立つ。もう1つの利点は、全ての計測が室温で起こることである。これによって、他のディテクタで使われているような高価な、時間のかかる窒素あるいはヘリウム冷却プロセスの必要性が回避できる。