October, 30, 2015, Sydney--シドニー工科大学(UTS)研究チームは、次世代量子通信に道を開く大きなブレイクスルーを達成した。
同大学の研究チームは、オンデマンドで量子光のシングルパルスを室温で放出する材料を発見した。これによって非常に安全な高速情報処理の障害の1つが取り除かれる。
これまで室温量子エミッタは、ダイヤモンドのような3D材料でしか観察されていない。このことは、このようなコンポーネントをチップや商用デバイスへ組み込むことを困難にした。そのため、グラフェンなどの原子的に薄い材料で量子光源を実現する競争が世界中で行われている。
准教授Mike Fordは、「この材料、層状六方晶窒化ホウ素(ハニカム構造に整列されたホウ素原子と窒素原子)は少し変わっている。原子的に薄く、一般に潤滑油として使用されている。しかし、注意深く加工すると、量子化された光パルス、つまり情報を運ぶシングルフォトンを放出することができる」と説明している。
「この点は重要である。と言うのは、大きな目標の1つは、電子ではなく光ベースで動作可能な光コンピュータチップを実現することだからである。光コンピュータチップは、発熱が少なく、非常に高速に動作する」。
このシングルフォトン光源を発見したのは、UTS科学のTrong Toan Tran, Kerem Bray, Mike Ford, Milos Toth、 Igor Aharonovichで、論文はNature Nanotechnologyに発表されている。
Igor Aharonovich准教授によると、このシングルフォトン光源は現在入手可能ないかなる光源と比べても高輝度であり、絶対安全通信や量子コンピューテーションの実現にとって有望な成果である。
PhD候補Trong Toan Tranによると、六方晶窒化ホウ素という材料は非常に簡単に造れる。「室温で使えるので非常に実行可能な選択肢である。安価であり、地球に優しい、大量に利用できる」と同氏は説明している。
「究極的には、オンデマンドでシングルフォトンを生成するプラグ&プレイデバイスを作りたい。これは、スケーラブルな量子技術にとって最初のプロトタイプ光源として使う。六方晶窒化ホウ素によって量子コンピューティングへの道が開ける」と同氏はコメントしている。