October, 14, 2015, Washington--フリードリッヒ・シラー大学イエナ(Friedrich-Schiller-Universität Jena)の研究チームは、極紫外(EUV)光を1秒間に10万回放射する超高速ビームを使い、確立されたイメージング技術の限界を押し上げた。
この方法により所定の波長で過去最高解像度の画像を達成しただけでなく、リアルタイムで利用できる高速画像も作成した。この新しい方法は、半導体チップからガン細胞まであらゆるものの研究に利用できる。
研究チームは、1980年代からあるコヒレント回折イメージング(CDI)というレンズレスイメージング技術の改善を目的にしていた。この方法で画像を撮るにはX線または極紫外レーザをターゲットに照射する。光は散乱し、フォトンの一部が相互に干渉してディテクタに入り、回折パタンを作る。そのパタンを解析することで、それらフォトンが辿るべき経路をコンピュータが再現する。パタンはターゲット物質の像を生成するが全ては、従来の顕微鏡で必要となるレンズなしで行われる。
同大学のMichael Zürch研究リーダーの説明によると、コンピュータはイメージングの一部となっており、レンズをエミュレートしている。
レンズはないが、画像品質は主に照射光源に依存する。従来、研究者たちは、SLAC国立加速器研究所にあるような大型の強力なX線ビームを使用していたが、過去10年で研究者たちは、研究室設置でコヒレントなレーザのようなビームを出力するより小型で安価な装置を開発した。コスト的にはこのような装置は便利であるが、難点がある。
そのようなテーブルトップの装置は、大型の高価なイエナ装置のようにたくさんのフォトンを生成することができず、それが解像度を限界づけている。解像度向上のためには、ディテクタをターゲット材の近くに置かなければならない。倍率を大きくするために試料を顕微鏡の近くに置くのと同じである。そのように距離が短いと、ディテクタに届くような角度で跳ね返るフォトンがなくなる。十分なフォトンがないと、画像品質は劣化する。
イエナ大学の研究チームは、従来のテーブルトップ装置よりも100倍高速に極紫外フォトンを照射する特注の超高速レーザを用いた。波長33nm、フォトンの数を増やすことにより研究チームは、解像度26nmのイメージングを可能にした。これはほぼ理論限界である。「極紫外では、これまでにそのように高い解像度を達成した者はいない」とZürch氏は言う。
この超高速レーザは、従来のテーブルトップ光源の別の欠点、長い露光時間も克服した。画像を待たなければならないとすれば、研究している系でリアルタイムフィードバックは得られない。新しい高速光源により、研究チームは露光時間をわずか1秒程度に縮めた、これはリアルタイムイメージングに十分である。1秒ごとにスナップショットを撮ると、80nm以下の解像度に達する。
そのように比較的小さなセットアップを使った高解像度とリアルタイムイメージングは、あらゆる種類のアプリケーションに展開できる見込みがある。エンジニアは、半導体チップの微小欠陥の発見にこれを使うことができる。生物学者は、細胞を作る細胞小器官をクローズアップすることができる。いずれ、研究者は露光時間をさらに縮め、より高レベルの解像度さえも達成するだろう。