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銀ナノワイヤを使ったナノスケールフォトディテクタ開発研究

October, 7, 2015, Washington--ロチェスタ大学の研究チームは、銀ナノワイヤを使って光で電流を誘導するデバイスを作製した。これは、次世代の回路を高速化する光の利用に向けた重要な一歩である。
 光を使って信号を伝送するフォトニック回路は電子回路よりも並外れて高速になる。現状では、これは大きい。回折限界以下、約200~300nmに可視光を局所化することは難しいからだ。電子半導体はナノメートルスケールにスタックするので、フォトニック回路のサイズ的限界は、スピードに差があるとは言え、電子回路に大きな優位性を与えている。
 ロチェスタ大学の新しい研究により、フォトニックデバイスの回折限界以下への縮小で重要な成果が実証された。これは、現在の技術でフォトニック回路が競争力を持つために不可欠の一歩となる。研究チームは、一般的な材料である二硫化モリブデン(MoS2)を使って光プラズモンを検出するナノスケールのフォトディテクタを開発した。光プラズモンは、回折限界以下で移動する電子の振動。研究チームは、銀ナノワイヤを使って光が電流を駆動できることを実証した。
 このデバイスは、光を銀ナノワイヤに沿ってプラズモンとして伝送し、原子厚の二硫化モリブデン(MoS2)で覆った他端で再び発光できることを実証した以前の研究を基に展開している。再放射されると光は、単にレーザの波長というよりはむしろ、MoS2のバンドギャップに一致しており、プラズモンがMoS2の電子を別のエネルギー状態に効果的に押し出すことを実証している。
 「当然次の考えは、このタイプのデバイスがフォトディテクタとして使えるかどうかを見ることである」とロチェスタ大学オプティクス研究所、院生、Kenneth Goodfellowはコメントしている。
 その目的のために研究グループは、片端をMoS2でコーティングした銀ナノワイヤをシリコン基板に移し、同じ先端に電子ビームリソグラフィで金属コンタクトを堆積した。次に、そのデバイスを装置に接続してバイアス電圧をコントロール、または固定してそこに流れる電流を計測した。
 ワイヤの覆われていない先端にレーザを当てると、そのエネルギーはプラズモンに変換される。これは電磁波の一形態で、電子密度の振動により移動する。このエネルギーが、MoS2で覆った先端に届くと、電子を電子的に励起した。
 ワイヤをレーザで少しずつスキャン、つまりラスタスキャンすることで研究グループは、ワイヤに沿って個々のポイントで電流を計測することができ、それが入射光の偏光に感度があり、光がワイヤに対して平行に偏光している時に最も強いことが分かった。また、デバイスはレーザの励起波長にも感度があり、短波長ではプラズモンの伝搬が非効率であるために、長波長ではMoS2のバンドギャップのためにパフォーマンスが制約を受けることが分かった。
 「完全なフォトニック回路は今後の事になるが、この成果は現在の研究に寄与するものである」とGoodfellowは話している。
 研究グループの今後の作業では、ワイヤとMoS2を作製済みの電極に完全ドライ転写することによりデバイスアセンブリの汚染を減らすこと、MoS2のドーピングプロセスの制御性を改善して電荷キャリを追加し、デバイスの効率を改善することが予定されている。