October, 6, 2015, Dresden--NICTは、住友電気工業、RAM Photonics, LLC(RAM、CEO: John R. Marciante)と共同で、従来世界記録であった光ファイバ1本あたりの伝送容量を2倍以上に更新し、2.15Pbpsの光信号の送受信実験に成功した。光ファイバ1本当たりの伝送容量を拡大する次世代技術として、新型光ファイバが世界的に研究されている中、今回、品質が均一で長距離伝送に好適な同種コア型のシングルモード22コアファイバと波長多重光を一括で生成可能な高精度光コム光源を用いて、30km伝送の実証を行った。
光伝送システムでの利用が期待されている高精度光コム光源を採用した今回の実験により、将来の大規模デジタルコヒーレント光ネットワーク実現の可能性が拓ける。
NICTは、長距離伝送への適応性を考慮し、シングルモード22コアファイバと、高品質なレーザ光源群よりも優れた性能を持つ光を、通信波長帯において一括生成する高精度光コム光源による光伝送システムを構成し、従来記録の2倍以上となる2.15Pbpsの光信号の送受信実験に成功した。
実験では、住友電工が「シングルモード22コアファイバ」を設計・製造。また、「高精度光コム光源」は、住友電工が独自開発した専用の高非線形ファイバを使用し、RAM社が設計・製造した。
22コアファイバは、すべてのコアが従来ファイバと同じシングルモードであることから、長距離伝送特性に優れ、なおかつ、全コアが同等の物理特性である同種コア型であるためコア間の信号品質が均一となり、空間符号化や自己ホモダイン伝送などの高度な伝送方式にも対応可能。高精度光コム光源では、25GHz間隔の399波長の搬送光を一括生成している。既存の波長多重伝送システムで一般的なレーザ光源群に比べ、雑音を大幅に抑え、周波数の安定性も高いために、高密度な信号伝送を可能にする。
実験結果により、マルチコアファイバの潜在能力を押し上げると共に、高精度光コム光源の大容量伝送への適用を実証したことで、将来の大規模コヒーレント光ネットワークの可能性を拓いた。