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スマートフォンの表面プラズモン共鳴光センサで妊娠がわかる

July, 13, 2015, Washington--光技術ハノーバセンタ(HOT)、ハノーバ大学の研究チームは、生体分子テストに幅広く使えるスマートフォン用の自己完結型光センサを開発した。用途には、妊娠や糖尿病の検出も含まれる。
センサ信号の読み取りは、結果をリアルタイムに示すスマートフォンのアプリで行うことができる。正しく設定すれば、スマートフォンユーザは、血液、尿、唾液、汗、息を含め、多様な体液をモニタすることができる。医療応用では、センサ信号はスマートフォンのGPS信号と組み合わせることができ、これによってユーザは薬局、病院あるいは救急車へのガイドを受けられる。
Optics Expressに発表された論文によると、このセンサは、光が薄膜表面の電子を押しやることで生ずる表面プラズモン共鳴(SPR)という光学現象を利用し、体液の成分、特別な生体分子あるいは微量気体を検出する。
表面プラズモン共鳴は、固定光ビームが金属箔にぶつかるときに生ずる。光のほとんどは反射されるが、わずかな光が表面電子によって吸収され、それらを共鳴させる。金属膜が液体に接していると、液体の屈折率が光スペクトルの吸収帯域のサイズと位置を変える。目標となる生体分子や微量気体に結びつくと屈折率変化を起こさせる膜に認識素子を付け加えることで、研究チームは、どの光が反射され、吸収されるかに基づいて生体サンプルの組成についての重要情報を判定することができる。
表面プラズモン共鳴はバイオセンシングで普通に用いられているが、一般に光検出器や光源の両方を含め大がかりな装置を必要とする。幸いなことにスマートフォンは、その両方をすでに備えており、最小限、シルバー被覆のセンシング領域を持つ直径400µmコアのMMFだけで構成するように設計したU字形デバイスを利用することができる。
センサの概念実証バージョンでは、発明者、Kort Bremerは、光ケーブルの10㎜セグメントからポリマ被覆を注意深く切り取り、400µm径のベアファイバコアを露出させた。そのセグメントをクリーニングして、それをシルバー被覆し、小さな井戸のような穴をつけて、そこに観察される液体を注ぐようにした。さら、ファイバの両端を45°に研磨した。ファイバを電話ケースに、つまりLEDとカメラに取り付けた。カメラには回折格子が取り付けられていて光ビームを分離して発光スペクルとする。
続く実験でデバイスの感度がグリセロールの様々な濃度を用いてテストされ、研究チームは、わずかなコストとサイズで現行の装置に匹敵するデバイスが実現することを確認した。