July, 8, 2015, Yavne--ミズーリ科学技術大学(Missouri University of Science and Technology)の研究チームは、ナノマテリアルを利用したカラー印刷プロセスの実証で「高品位印刷」に新たな意味を与えている。
この場合、印刷の特徴は非常に微細であるが、強力な電子顕微鏡を使わなければ見えない。
研究チームは、Scientific Reportsに「ノーインク」(インクを使わない)印刷法を掲載し、ミズーリS&Tアスレティックロゴをナノメートルスケールの表面に再現することで技術を説明している。Scientific Reportsの記事「完全光吸収プラズモニックメタサーフェスをベースにした構造的カラー印刷」に方法が紹介されている。この方法では、メタマテリアルとして知られるナノスケール金属-誘電体材料の薄いサンドイッチ構造を利用しており、メタマテリアルは自然には見られないような方法で光と相互作用する。サンドイッチ構造、つまりプラズモニックインタフェース上の白色光の相互作用で実験し、研究チームはナノメートルスケールレベルで「単純だが効率のよい構造的カラー印刷プラットフォーム」を開発した。このプロセスの将来的なアプリケーションとして研究チームは、ナノスケールビジュアルアート、セキュリティマーキング、情報蓄積をを挙げている。
この印刷面は、シリカの「スペーサ」膜で分離された2枚の薄い銀膜(シルバーフィルム)でできたサンドイッチ構造よりなる。シルバーフィルムの最上層は25nm厚、集束イオンビームミリングとして知られる微細加工プロセスによって微細な穴が開けられている。シルバーのボトム層は上面よりも4倍厚いが、それでもまだ100nmと薄い。この上下層の間に45nmのシリカ誘電体スペーサがある。
研究チームは、アスレティックロゴのスケールダウンテンプレートを作製し、メタマテリアル構造の最上層にミシン目を開けた。走査電子顕微鏡で見ると、テンプレートはロゴの刺繍模様のように見える。研究チームは、次に穴に光を透過させ、インクを使わずにロゴを作成した、これは材料と光との相互作用だけである。
最上層の穴のサイズを調整することで、所望の周波数の光が材料に入って完全に吸収される。これにより、反射光で異なる色を作成でき、ナノスケール色模様のS&Tアスレチックロゴを正確に再現できる。研究チームは、さらに穴を調整して、ロゴの公式グリーンとゴールドカラースキームを替え、新しい4色(アンバーサンドのオレンジ、マゼンタSとT、シアンのツルハシシンボル、ネイビーブルーのMissouri)を作った。
論文の共著者、機械・航空工学准教授、Dr. Jie Gaoは、「混合着色顔料を使うインクジェット、レーザジェットプリンタの印刷プロセスと異なり、われわれの構造的印刷プロセスではカラーインクは存在しない、薄い金属層にサイズの異なる穴があるだけである」と説明している。