July, 7, 2015, Southampton--サザンプトン大学の研究チームは、3Dプリンティング、積層造形技術を使用して光ファイバを製造する技術の研究を始めた。全く新しいファイバ製造法は、より複雑な構造に道を開くことになり、バイオテクノロジーから航空、通信まで幅広い産業で多くの応用を可能にすると考えられている。
光ファイバプリフォームに用いられる現在の技術、線引き技術は、プリフォームの長さに沿って一貫性のある構造を作るが、ファイバの形状や組成を3次元的にコントロールすることを困難にする。これは、エンジニアによるファイバ設計の柔軟性に制限を加えるものであり、したがってファイバの機能の制限にもなる。
Jayanta Sahu教授がサザンプトン大学Zepler 研究所のチーム、および工学・環境学部の共同研究者Dr Shoufeng Yangとともに開発した新技術により、エンジニアは遙かに複雑で、長さ方向で特性が違う構造のプリフォームを作製することができる。
Sahu教授は、「新しいマルチ材料積層造形(MMAM)装置を設計、作製、利用して、シリカやその他のガラス材料で光ファイバプリフォーム(従来の形状とマイクロストラクチャ構造の両方で)を作製する」と言う。「われわれが提案したプロセスを利用して複雑なプリフォームを生産できる。これは、他の方法では難しすぎ、時間がかかりすぎ、現状では既存の製造技術では実現不可能だ」。
プリフォームの作製は、光ファイバ製造で最も難しい段階の1つ、特にプリフォームがフォトニックバンドギャップファイバ(PBF)のように複雑な内部構造の場合は難しい。PBFは、新しいタイプのマイクロストラクチャファイバで、特に通信やデータコム業界に革命を起こすと期待されている。
現在、ほとんどのマイクロストラクチャファイバは、労働集約的な「スタック&ドロー」工程を用いて造られる。これは、多数の小さなガラスキャピラリあるいはケインを手で積み上げてプリフォームを作製する方法。
しかし、新しい積層造形技術を利用して研究チームは、超純度のガラス粉末から複雑なファイバ構造を造ることができる。これにより、レイヤ毎に徐々に形状を積み上げ、長さ数10㎝のプリフォームを作製することができる。多くの困難な点はある、例えばガラスの高融点(シリカの場合、2000℃超)、ドーパント、屈折率プロファイル、導波形状の精密制御の必要性、レイヤ間の移行を滑らかにする必要性。そうでなければ結果としてのファイバの特性が変わってしまう。
工学・物理科学研究委員会(EPSRC)から助成金を得たプロジェクトの一環として研究チームは、3企業と協働する: ES Technology(オクスフォード、UK)、レーザ材料加工システムベンダ。Fibercore(サザンプトン、UK)は特殊ファイバのサプライヤ。SG Controls(ケンブリッジ、UK)は大手光ファイバ装置メーカー。