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超高効率光ベースのコンピュータの到来を告げるブレイクスルー

June, 23, 2015, Washington--スタンフォードの電気工学教授、Jelena Vuckovicは、データ処理が行われるチップ間のデータのやりとりの仕方を再考することでコンピュータを高速化し、より効率的にすることを考えている。
 今日のコンピュータでは、データは電子の流れとして銅線で転送される。この場合、多くのパワーが必要であり、ラップトップが熱くなるのはこのためである。
 Vuckovicによると、同僚のDavid Millerがコンピュータの消費電力を分析した結果、マイクロプロセッサのパワーの最大80%が銅線によるデータの転送、つまりインタコネクトで消費されることが分かった。
 Nature Photonicsに発表された論文では、研究チームはコンピュータ内部でのデータの転送に電気の代わりに光を使うことでコンピューティングを大幅に改善するプロセスについて説明している。
 研究チームによると、チップスケールのリンクでは光を利用することでデータ転送量は20倍以上に拡大する。また、消費エネルギーも激減する。
 シリコンは赤外光に対して透明であるので、理論的にこれは実行可能であり、銅線を光インタコネクトに置き換えることができる。シリコン構造は赤外光を伝送できるように設計されている。
 しかしこれまでは、光インタコネクトを1つずつ設計しなければならなかった。電子装置で数千のそのようなリンクが必要と考えると、光データ伝送は非実用的であった。
 研究チームは、いわゆる逆設計(inverse design)アルゴリズムを開発し、ボトルネックを解消したと考えている。
 そのアルゴリズムは、その名が示すとおり、エンジニアが光回路にさせたいことを明確にし、次にソフトウエアでその仕事をするためのシリコン構造の作製法の詳細を示す。
 スタンフォード院生、Alexander Piggottによると、製造プロセスは商用製造プラントほどの精度はないが、この技術は最先端の工場で簡単に量産できる。
 スタンフォードの成果は、赤外光はシリコンを透過するというよく知られた事実に依存している。プリズムが可視光を虹色に分解するように、異なるシリコン構造は赤外光を役に立つように曲げることができる。
 スタンフォードのアルゴリズムは、人の髪の毛の直径サイズに20以上のシリコン構造が並ぶように設計する。これらのシリコンインタコネクトは、特定の周波数の赤外光を銅線に代わって特定の場所に転送できる。
 これらの周波数にデータを載せることで、スタンフォードのアルゴリズムはスイッチ、導線、そのタスク(仕事)に必要なものは何でも創ることができる。
 逆設計アルゴリズムは、赤外光を曲げるシリコンプリズムに相当するものの作製法を記述することで光インタコネクトを実用化する。
 そのアルゴリズムがタスクに適した形状を計算すると、エンジニアは標準的な産業プロセスを使ってそのパタンをシリコン面に転写することができる。
 「われわれの構造は、スイスチーズのように見えるが、これまでに見たどんなものと比べても性能は優れている」とVuckovicはコメントしている。
 研究チームは、複数の異なるタイプの光インタコネクトを作製した。逆設計アルゴリズムができることには制限はないと研究チームは考えている。
 光インタコネクトの設計プロセスを自動化することで、内部のデータ転送に光を使う次世代の一段と高速でエネルギー効率の高いコンピュータに向けて準備ができると研究チームは考えている。