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記録的な11kmのフォトニックバンドギャップファイバの製造に成功

June, 15, 2015, Southamton-- サウサンプトン大Zepler研究所の研究グループは、記録的な11kmホローコアフォトニックバンドギャップファイバの製造に成功した。ファイバは低損失、広い伝送帯域を特徴としている。これは、これまではわずか数100mしか製造できなかったタイプのファイバである。
 今回のファイバは、1560nmで長手方向の損失は約5dB/km均一であり、19セルコア、5クラッディングリング構造を持ち、従来の2ステージスタック&ドロー技術を用いて製造した。
 「ホローコアフォトニックバンドギャップファイバは、これまでニッチアプリケーションしか持てなかった。と言うのは、通信アプリケーションに適した長さで製造できないと考えられていたからだ」とZepler Instituteチームのシニアメンバ、Dr Marco Petrovichは言う。同チームは、UKエンジニアリング&物理科学研究委員会とヨーロッパユニオンFP7プログラムからの助成金を受けてホローコアファイバ技術を開発した。「われわれは適切な長さのフォトニックバンドギャップファイバの製造に成功したにとどまらず、通信アプリケーション向けに適した特性に設計することにも成功した」。
 研究チームは、そのファイバが、Cバンド全体でエラーフリー、低遅延、ダイレクトディテクション10Gb/s伝送できることを実証した。
 長尺のフォトニックバンドギャップファイバの製造は非常にむずかしい。通常のファイバの特性は材料に依存しているが、フォトニックバンドギャップファイバの特性はその構造に依存するからである。フォトニックバンドギャップファイバの特性を規定するノードとストラットは、多くは数ナノメートルサイズであり、通常サブミクロンスケールとなる。「これらの構造のわずかな変化が、ファイバの長手方向の特性を変える。われわれのファイバの特性は、長手方向全体で一定であることを示した」とPetrovich氏は説明している。
 このブレイクスルーが可能になったのは、様々な新しい数値と実験製造および最近研究チームが開発した評価ツールから、ファイバの特性についての理解が向上したためである。
 Petrovich氏は、「ダイレクトディテクションを利用して10Gb/s 11kmデータ伝送を実証し、非常にわずかなペナルティ、標準ファイバに対して遅延が>15µsであることを示した。ファイバ線引きプロセスのわれわれの数値モデルから、プロセスをさらに拡大することで遙かに長いファイバの製造が可能であり、究極的には非常に低損失が可能であるという自信を得た」とPetrovich氏はコメントしている。