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Delft研究チーム、紙にシリコンを印刷

May, 21, 2015, Karlsruhe--デルフト工科大学(TU Delft)と北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の研究グループは、シリコンインクでチップを造る技術を開発した。究極的には、ウエアラブルエレクトロニクス向けのトランジスタを造りたいと研究グループは考えている。
 最近、TU DelftとJAISTの研究グループが、液体シリコンインクから基板に直接、多結晶形で回路に使用するシリコンそのものをシングルレーザパルスで作製する方法を提案した。
 これまでもシリコンインクを基板に印刷することはできたが、350℃の熱アニーリングステップがあり、これは多くの柔軟表面には非常に高すぎる温度である。温度を低くすると、架橋結合が不十分になり、インクの酸化を招く。
 新しい技術は、石原良一マイクロエレクトロニクス客員教授(EEMCS学部)が開発したもので、全く異なるアプローチを採用している。同氏によると、それは非常にシンプルである。「われわれは、ドクターブレーディングにより、液体多結晶を直接紙にコーティングする、あるいは酸素フリー環境において、ブレードで直接膜を造る。次にエキシマレーザでその層をアニールする。エキシマレーザは、スマートフォンディスプレイ製造に用いられる一般的なツール。そうすると出来上がる。
 レーザブラストは、わずか数十ナノ秒であるので、紙は全くダメージを受けない。導電性能のテストで、レーザプリント層を用いる薄膜トランジスタが、従来の多結晶シリコン導体と同程度の電子移動度を示すことが分かった。
 この印刷能力の直ぐにも適用できるアプリケーションは、ウエアラブルエレクトロニクスであり、この技術を使えば低コストで高速、ローパワー、柔軟なトランジスタが製造できる。「このプロセスは、生体医療センサや太陽電池分野にも拡大できる。また、伸縮自在の、食べられるエレクトロニクスでさえも実現できる」と石原氏はコメントしている。