May, 12, 2015, Washington--ロチェスタ大学の研究チームは、原子レベルの薄型半導体の欠陥が発光量子ドットとなることを示した。
この量子ドットは、シングルフォトンの光源となり、量子フォトニクスと固体エレクトロニクスとの集積、集積フォトニクスにとっても有用なものとなる。
研究者は、量子情報処理利用のための集積固体デバイスに関心を持っていた。原子レベルの薄型半導体の量子ドットは、それらの相互作用の仕方の基礎物理学の探究のフレームワークとなるだけでなく、ナノフォトニクス応用も可能にする。
量子ドット(QD)は、人工原子と言われることがある。QDsは人工的に作られたか、自然に起こる固体内の欠陥であり、幅広いアプリケーションで研究されている。同大学オプティクス准教授、Nick Vamivakas氏によると、原子レベル薄型2D材料、グラフェンなどは、オプトエレクトロニクスで潜在性を探りたい研究者の間で関心を集めてきた。とは言え、今日まで、光学的に活性な量子ドットは、2D材料では観察されたことがなかった。
Nature Nanotechnologyに発表された論文では、ロチェスタ大学の研究チームは二セレン化タングステン(WSe2)から、固体QDsのプラットフォームとなる原子レベルの薄さの半導体を造る方法を示している。恐らく、最も重要な点は、ドットを作る欠陥が半導体の電気的、光学的パフォーマンスの妨げとならないことであり、また電磁場によって制御可能であることだ。
Vamivakas氏の説明では、量子ドットの発光は電圧印可によって制御できる。次のステップは、電圧を利用して放出フォトンの「色の調整」、これによってQDsをナノフォトニクスデバイスに集積することが可能になる。
WSe2で原子レベルに薄い層を造るには、黒い結晶から層を剥がしていけばよい、とVamivakas氏は説明している。この薄いシートを重ねると、重なったところが量子ドットになる。重なったところに欠陥ができるが、そうでなければ滑らかな2D半導体材料シートになる。このように極薄半導体は、他のエレクトロニクスに非常に簡単に集積できる。
WSe2量子ドットは、量子自由度、つまり電子スピンが本来備わっている。これは望ましい特性。スピンは量子情報の蓄積にもなり、局所量子ドット環境のプローブともなるからだ。
「WSe2が極めて多様であるのは、QDsから発せられるシングルフォトンの色が量子ドットスピンに関連づけられていると言うことである」と論文の筆頭著者、Chitraleema Chakraborty氏は説明している。